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2008年02月27日

映画化――梨木香歩【西の魔女が死んだ】

出演はサチ・パーカー、高橋真悠、りょう、大森南朋、高橋克実、木村祐一。

公開は2008年6月。

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西の魔女が死んだ (新潮文庫)西の魔女が死んだ
(新潮文庫)

(2001/07)
梨木 香歩

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2008年02月27日

ワーキングガール・ウォーズ(柴田よしき)

「おはよう」
「おはようございます」
いつものように挨拶を交わしながらフロアに入る。何だかいつもと違う風に見えるのは、やっぱり今日が最後の出勤だからということなのだろうか。なんとなく雰囲気が違う。僕の気のせいかもしれないのだけど。
「宮部くん、今日で最後なんだよね」
課長の佐々木さんに声を掛けられる。僕の直属の上司でもあって、これまでも可愛がってもらった。この会社に入って、一番お世話になった人だと言ってもいい。
「今まで本当にありがとうございました」
「まあそんな大したことをしたつもりはないけどさ。で、明日が手術だって?」
「そうなんです。なんか緊張しますよね」
今では盲腸並のありきたりな手術になってしまったが、しかしやはり多少不安を感じるのは否めない。
「まあ大丈夫よ。あたしの妹も受けたみたいだけど、大したことなかったって言ってたしね」
「そうだといいんですけどね」
「まあしかし、宮部くんまで寿退社となると、いよいよ女ばっかりになっちゃうのか」
僕は一ヵ月後に結婚式を控えている。手術のこともあるし、式の手配のこともある。仕事のキリもよかったので、この時期に寿退社ということになったのだった。
時代は大きく変わった。
話で知っているだけであるが、かつては会社員と言えばほとんど男のことを指していたような時代があったようだ。男女雇用機会均等法という、今では存在を忘れかけられている法律が制定されたお陰で女性も雇用されるようになっていき、平等とまではいかないまでも男女が比較的同じ割合で仕事をしていたようである。
今ではその状況は大きく変わってしまった。
今では会社員と言えば女性のことを指すのが一般的になってしまった。会社の上役はほぼ女性で占められているし、社員の9割以上が女性という会社が普通になってきている。この会社も、僕が最後の男性社員であり、僕が抜けると社員すべてが女性という状況になる。
女性が社会に進出するようになってからこういう状況に少しずつシフトしていったのだろうけど、しかしそれでも大きな制約が残っていた。
それが出産である。
どれほど女性の地位が向上しても、どれだけ社会福祉が充実しても、子どもを産むのが女性であることには変わりない。その期間仕事を離れなくてはいけなくなるわけで、やはり女性としてはそれが大きな制約となっていた。
しかしそれも、ある技術革新によって解消されるようになった。
発想としては単純だ。要するに、出産の機能を男性側に移植してあげればいいのだ、というものだった。これは今では「性質転換」と呼ばれている。明日僕が受ける手術もこれだ。
妻から子宮を摘出し、それを夫に移植する。この技術が開発された当初は社会でも大きな問題として取り上げられたが、しかし非合法であってもこの手術を受ける女性が後を断たなかった。国も世論に押し流されるようにして、この手術をなし崩し的に認めることになったのだった。
もちろん子宮を移植するだけでは十分ではない。例えば男性側の射精の機能を変えなくてはいけない。つまり、外に向かって射精するのではなく内側、自分の腹部に入った子宮側に射精するような仕組みに機能を変えるのだ。これは妊娠のために必要な措置ではあったが、しかし思いがけず女性に好評だった。何故ならば浮気が出来なくなるからだ。男性はセックスをして射精すると、それが直接自らの子宮に届いてしまう。安易に浮気をするわけにはいかないのだ。同時にオナニーも制限されるようになった男性側からの不満の声は大きい。避妊の方法はあるが、多少お金が掛かる。多少面倒ではある。
また、女性ホルモンを使わずに母乳が出る機能も開発された。男性でも、出産から一定期間の間母乳が出るので、女性が育児休暇を取る必要がなくなったのである。
また法整備も急ピッチで進められた。この新しい手術により様々な法案が作られることになった。例えば、夫婦が離婚する際、男性の腹部にある子宮はどうするのか、ということなどだ。もちろん、その子宮は女性の側に戻さなくてはいけない。ではその手術台はどちらが負担するのか。そういう細々としたことも決めなくてはいけなかった。
こうしたごたごたはもう昔の話で、今ではこの「性質転換」に伴う変化というのは定着した。結婚した夫婦の実に9割5分がこの「性質転換」を受けるという統計があるし、「性質転換」は一種のビジネスとして大いに成功している。どうしても子宮が男性の身体で拒否反応を起こしてしまったため「子宮離婚」に至ったり、離婚時男性が妊娠していたため子宮の移植が出来ず、またその妊娠が男性自身によるオナニーの結果としての妊娠であることが立証されたために、子宮を「貸している」間の損害賠償を求める裁判が起こされるなど、細かいトラブルは未だにあるが、女性が外で働き男が家を守るというスタイルは違和感なく成立している。欧米各国から「日本はクレイジーだ」などという批判を浴びることはあるが、それが僕らの生活に影響することは特にない。
明日からまるで違った生活に入るのだと思うと、何だか不思議な気分がする。最後の出勤日なので、仕事も特にない。どちらかと言えば、お世話になった人を回って挨拶をする方がメインである。ほとんど片付いたデスクに座りながら、僕は細々とした仕事を片付けていた。
この「性質転換」がもたらしたのは、女性の社会進出だけに留まらない。僕はその恩恵に預かって、幸せな未来を描くことが出来るのだ。
昼休みに京子から電話が掛かってくる。
「明日はどこに行けばいいんだっけ?」
「直接○○総合医院に来てくれれば、そのまま手術って流れになるよ」
「わかった。ちょっとそれだけ確認したくて。じゃあまた明日」
それから僕は婚約者の猛に電話を掛ける。
「やぁ」
「明日はいよいよ手術だね」
「ちょっと不安なんだけどね。明日は来てくれる?」
「もちろんい行くさ。大丈夫だって。俺がついてる」
「ありがと」
僕の婚約者は男。男同士の結婚は未だに法律では認められていないけど、しかし「性質転換」のお陰で、男同士の結婚でも子供を持つことが出来るようになった。今ではお金のために子宮を売る女性は結構いる。お金は掛かるが、しかし彼との子どもを持てるなら、大したことではない。
会社の人には、普通に女性と結婚するのだと伝えている。そうやって嘘をついたままここを去らなくてはいけないのが、唯一の心残りだ。

一銃「性質転換」

今回はラストが2パターンあったんですけど、こっちにしました。もう一方は、婚約者(女)から電話が掛かってきて、実は子宮ガンだったということが判明する、みたいな感じにしようかなと思ってました。
そろそろ内容に入ろうと思います。
本作は、連作短編集のような構成になっていますが、僕は長編だと思ったので長編として紹介します。
総合音楽企業の企画部の係長である墨田翔子。37歳、未婚。会社ではいわゆるお局様で、とにかく仕事は出来るが、周りから嫌われていることは痛いほど自覚している。ランチも一人。飲み会にも誘われない。そんなのにはもう慣れっこだが、しかし何とも思わないわけでもない。ついイライラしてしまう自分を抑えるのはなかなか苦労する。
今も入りたての新入女子社員にイライラしている。あからさまにあたしのことを目の敵にしていて、それで周囲の評価を勝ち取っているようなところがある。頭のいい女なんだろうが、しかし凡ミスが多い。プライドも高い。扱いづらい。あぁ、めんどくさ。
そんな日々に疲れたある日、ふと入った旅行代理店でオーストラリアのケアンズのパンフレットを見た。なんかいい。ここに行こう。海外旅行なんてもう何年も行ってないけど、よしケアンズに行こう!
ケアンズには、現地でツアコンとして働いている嵯峨野愛美がいる。翔子とはメールでのやり取りがあったが、もちろん会うのは初めて。愛美は30歳未婚で、給料もびっくりするほど低い。うんざりするような観光客のお守りをしてクタクタ。日本で働きたくなくて外へ飛び出したのに、何だか全然うまくいってない。
そうやって翔子と愛美は出会う。お互い働く女性でありながら境遇は大分違う二人の女性が、働く中で感じるリアルを描く。
というような話です。
いやぁ、これはなかなか面白かったです。柴田よしきという作家はもちろん知っていて、作品もちょこっと読んだことがあるぐらいでしたけど、自分の中で評価がグンと上がった気がします。幼稚園の園長さんのシリーズは結構面白かったけど、デビュー作がちょっとダメで、しかもちょっと作品数も多くてどれから読もうかみたいな感じだったので、これはなかなかよかったです。
本作を読んでとにかく一番思うのは、ホント男でよかったなぁ、ということです。もちろん僕はサラリーマンじゃなくてフリーターで、会社で働くなんていうことは全然知らないので、ここに書かれているようなことを身近なものとして捉えることは難しいんですけど、でももし自分がサラリーマンで会社にいたとしたら、やっぱ女より男の方がいいよなぁ、と思えてしまうわけです。
女性というのは会社の中では、波風立てないで大人しくしているか、あるいはバリバリ仕事をしてグングン上に上って行くかのどっちかしかないわけです。男だったらそれ以外にも、適当に仕事をしてでも出世だけはする、みたいな道もきっとあるんだろうけど、女性だとなかなかそうはいかないんでしょう。仕事で評価されないと上にはいけないし、評価され続けないと下に下がってしまうし。本作を読む限り、とにかく女性というのはかなり気を張って仕事をしないといけないようで、本当に大変だなと思いました。
それにしてもこの作品はリアルだなと思いました。さっきも書いたけど僕はサラリーマンではないので、厳密な意味で本作のリアルさについては判断できないんですけど、でもきっとこういうところなんだろうなと思わせるだけのディテールがありました。
本作には、翔子を中心として、ほんのささやかな「悪意」というものが存在します。この「悪意」の描き方がすごく緻密でリアルっぽく感じられるんですよね。恐らく実際会社で起こってもおかしくないようなことで、しかもそのそれぞれに最終的なおとしどころを用意しているわけです。ネタバレにならないように書くにはこれが限界ですが、ホント巧いなと思いました。大勢人間がいて、しかも相手の足を引っ張ってでも上に行きたいと思っている人間が集まっているわけで、そりゃあささやかどころではない「悪意」が存在するんでしょうけど、何だか怖いなと思いました。
その「悪意」に、翔子は歴然と立ち向かうわけですね。これがなかなかかっこいい。自分が嫌われていることにもさほど動じなくなったという女性ですからまあ大抵のことにはへっちゃらだとはいえ、自分の管理している範囲内に、自分以外の人間に向けられた「悪意」が存在するというのも気持ち悪い。まあそんな感じで翔子はその一つ一つに向き合うことになるんですけど、そういう部分も含めて大変だなと思いました。
一方愛美の方も大変で、アホな観光客に振り回されたり、変なガイジンに捕まったりと忙しいわけです。恐らく一般的な読者からすれば遠い存在である翔子よりは、こっちの愛美の方に共感する人の方が多い気はします。章毎に交互に視点が変わるので、この対照的な二人の存在がなかなか面白い感じになっています。
翔子や愛美だけではなく、その脇を固める人たちにもきちんとストーリーを用意していて、ただの脇役という風に終わっていないところもいいですね。それが全体のストーリーともほどよく絡まっていて、なかなか巧いと思いました。
あんまり本作について巧く評価できてないような気はしますが、僕はかなりいい作品だと思いました。働く女性には是非読んでみてもらいたいなと思います。案外、あたしたちはこんなこと考えて仕事してるわけじゃない、みたいに言われるかもですが(笑)。ただ、サラリーマンではない僕でも十分面白いと思ったので、少なくとも働く女性についての世間一般のイメージみたいなものはかなり巧く掴んでいるんだと思います。柴田よしきの経歴はよく知らないですけど、やっぱ昔OLだった経験があるんですかね。そうじゃないと、なかなかここまでリアルに書けないような気もしますが。
僕は結構傑作だと思いました。是非読んで欲しい作品です。

柴田よしき「ワーキングガール・ウォーズ」


ワーキングガールウォーズ文庫

ワーキングガールウォーズ文庫

2008年02月27日

風力発電の話 すばらしい新世界

すばらしい新世界 (中公文庫)すばらしい新世界 (中公文庫)
池澤 夏樹

中央公論新社 2003-10
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池澤夏樹『すばらしい新世界』
芸術選奨文部科学大臣賞。
林太郎はヒマラヤの奥地に風力発電を設置するために現地へ旅立った。

全国的に週末から強風、突風が吹く春の嵐の中、風力発電の話を読んでいた。単行本が刊行されたのは2000年。新聞に連載していたのもなんとなく記憶があるけど、2008年に読んだからこそ数々あるテーマが関心事のストライクゾーンに飛んできた。
エネルギーと環境問題の提議。少なくとも20世紀末に地球温暖化は試算されていたと思う。近年は気候の変動を目の当たりにする。昨年は一番暑い夏を経験し、熱中症にならないように対策をした。この時期にこんなにも風が吹くことが多かっただろうか?と記憶を回想。春一番はあったけど、高波の被害があったことから、海水の上昇などで風が吹きやすい気がする。この本の中でも、文明を手にいれて生活が便利なったことと、電力が普及していない地域で風力発電を浸透させることがいいことだろうか?と林太郎は考える。その気持ちを素直にボランティア活動をする妻のアユミにメールする。アユミの考え方は自然体で夫の気持ちを尊重しながら、自分の意見をもつ。時に一人間として、妻として、母として、離れた場所にいる夫に空を飛び恋文を送る。
また、林太郎が現地に行く旅の風景や体感は、読む者をその場所へ誘ってくれる。高い山へ登るときの高山病にならない注意点や、そこでの風習、食べ物、人と触れ合い。理路整然としていながら押しつげましくない文章。
時折、著者が登場し、ナビゲートする手法も面白かった。
風力発電が普及すればどんなにいいかと心の底から願った。ただ、この本が刊行して8年が経過し、エネルギー問題は今世紀避けて通ることの出来ない課題。原油高、バイオエタノールの普及が穀物の価格を高騰させている。本の中でも理念として資源の循環がでている。
読んでいると自然の恩恵に預かっていて、感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思った。
結構厚い本ですが読みやすい文章で、環境問題を知ることでき、旅気分も味あうことができる良著なので多くの人に読んで欲しいです。

2008年02月27日

風力発電の話 すばらしい新世界

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池澤 夏樹

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レビュー

池澤夏樹『すばらしい新世界』
芸術選奨文部科学大臣賞。
林太郎はヒマラヤの奥地に風力発電を設置するために現地へ旅立った。

全国的に週末から強風、突風が吹く春の嵐の中、風力発電の話を読んでいた。単行本が刊行されたのは2000年。新聞に連載していたのもなんとなく記憶があるけど、2008年に読んだからこそ数々あるテーマが関心事のストライクゾーンに飛んできた。
エネルギーと環境問題の提議。少なくとも20世紀末に地球温暖化は試算されていたと思う。近年は気候の変動を目の当たりにする。昨年は一番暑い夏を経験し、熱中症にならないように対策をした。この時期にこんなにも風が吹くことが多かっただろうか?と記憶を回想。春一番はあったけど、高波の被害があったことから、海水の上昇などで風が吹きやすい気がする。この本の中でも、文明を手にいれて生活が便利なったことと、電力が普及していない地域で風力発電を浸透させることがいいことだろうか?と林太郎は考える。その気持ちを素直にボランティア活動をする妻のアユミにメールする。アユミの考え方は自然体で夫の気持ちを尊重しながら、自分の意見をもつ。時に一人間として、妻として、母として、離れた場所にいる夫に空を飛び恋文を送る。
また、林太郎が現地に行く旅の風景や体感は、読む者をその場所へ誘ってくれる。高い山へ登るときの高山病にならない注意点や、そこでの風習、食べ物、人と触れ合い。理路整然としていながら押しつげましくない文章。
時折、著者が登場し、ナビゲートする手法も面白かった。
風力発電が普及すればどんなにいいかと心の底から願った。ただ、この本が刊行して8年が経過し、エネルギー問題は今世紀避けて通ることの出来ない課題。原油高、バイオエタノールの普及が穀物の価格を高騰させている。本の中でも理念として資源の循環がでている。
読んでいると自然の恩恵に預かっていて、感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思った。
結構厚い本ですが読みやすい文章で、環境問題を知ることでき、旅気分も味あうことができる良著なので多くの人に読んで欲しいです。

2008年02月26日

小林至「アメリカ人はバカなのか」★★★☆☆

昭和43年東京都生まれ。平成3年、千葉ロッテに入団した際は、東大出身のプロ野球選手(史上3人目)として話題を呼ぶも、一軍にはあがれず、3年間の短いプロ生活を終える。野球で食べるのはやっぱり無理だと悟り、翌年、勉強しなおそうと渡米。日本で伝え聞いていたのと随分違うアメリカに幻滅しながらも、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)を取得し、フロリダで会社勤めをするなど、結局、7年アメリカに住む。そこで得た経験をもとに、現在、幅広い評論活動をしつつ、大学では経済、特にスポーツビジネスの研究にいそしんでいる。著書に『合併、売却、新規参入。たかが・・・されどプロ野球!』(宝島社)、『アメリカ人はバカなのか』(幻冬舎)など。福岡ソフトバンクホークス取締役を兼任



本の中身よりも何よりも、
著者その人の経歴とかが気になる。
上は、江戸川大学の教師経歴のページから転載。
やっぱりこれだけでも面白。

2008年02月26日

伊坂幸太郎【死神の精度】

彼が仕事をするときは必ず雨が降る。仕事の合間にCDショップへ行き、試聴機で大好きな音楽を聴く。

対象者を一週間のあいだ調査し、その死に「可」か「見送り」かの判断をくだす。人間の世界については情報部からの通達で把握しているつもりだが、理解は不完全で、どこか受け答えがずれている。

そんな死神の「千葉」がクールに見つめる対象者たちの喜怒哀楽。

金城武の主演で映画化された、6篇から成る連作短編集。表題作の『死神の精度』は第57回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。


死神の精度 (文春文庫 (い70-1))死神の精度
(文春文庫 (い70-1))

(2008/02/08)
伊坂 幸太郎

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評価=☆☆☆☆  (5つ星が最高点です)


とぼけた味わいがあって面白いです。

死神に調査部や情報部といった部署があるのも可笑しいし、千葉が音楽のことを「ミュージック」と呼ぶのも可笑しい。

千葉はミュージックが大好きで、CDショップの試聴機を愛好していますが、作曲家や作詞家や歌手の名前は知らないし、知るつもりもない。ジャンルもどうでもいい。ポップスであろうとクラシックであろうと、ミュージックでありさえすれば何でも構わないみたいです。

私はCDショップの試聴機って落ち着かなくてダメですね。だって隣に知らない人が立っているでしょ。そういう私とは違い、周囲のことを気にせず音楽の世界に没頭できる人は、本当に音楽が大好きなんだろうと思います。



しかし千葉が目を輝かせるのはミュージック関係のみ。それ以外は全くクールです。人の死に対しても何の感慨もない。

人は誰でも必ず死を迎えます。死神が決定をくださなくても、死神の管轄外である自殺や病死で命が途絶える場合もある。いずれにしろ人生の残り時間はいつかゼロになります。それを考えず、過剰に怒りや悲しみや不快さをまきちらす愚かしい人間たちを、千葉は「上から目線」で見おろしています。



私もどちらかというと愚かしいほうに近い人間だけど、それでも「そんな人生でいいのか?」と首をかしげざるをえない変な人っていますね。

たとえば会社や家に怪しげなセールス電話がかかってくる。なんかもう電話を受けた瞬間から不審なオーラが漂いますよね。まるで「こちらは怪しい者です」とでも名のってるみたいな。そういう電話で購買意欲がわきますか? 私は全くわきません。

ときどき考えるんですよね。こういう電話をかけている人の人生って楽しいのかな、と。だって電話の効果はゼロですよ。それどころか電話の相手に怒鳴りつけられるかもしれないし、いきなり電話を切られるかもしれない。不快な気分になるだけです。あんな仕事のしかたでは充実感もなにもありゃしない。

ブログにスパムコメントをつけてくる輩も、一体どんな人生を送ってるんでしょうね。スパムコメントなんかすぐ消されちゃって何の効果もないのに、懲りずに何度も何度も送信してくる。

そんな無意味で無駄なことをしているうちに、人生の残り時間はどんどん減っていきますよ……。

まあ私も忙しいので、そういう輩に説教なんかしないけどね。



死神の千葉も、対象者に「もうすぐ死ぬんだから有意義に時間をすごせ」とは言わない。すーっと近づいてきて調査をし、すーっといなくなるだけ。ほとんどの対象者は死神の存在に気づきません。

でも私なんか「○月○日におまえの人生が終わる」と言われても何をどうしていいか分からないし、たぶん怖いだけだから、死神には気づかなくていい。

ただ、死を迎えるその日に「私の人生の意味って何だったの……?」と考え込むような虚しい人生は送りたくないと思います。



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2008年02月26日

編集者!(花田紀凱)

「ねぇねぇ、JanJam見たよ~。すごいじゃん、モデルなんて!」
朝、いつものように会社に出勤すると、同僚の友美にいきなりそんなことを言われた。
「モデルやってるなら言ってくれればいいのに。隠すことでもないでしょ」
「モデルってなんの話?」
「やだぁ。まだトボけるつもりなわけ。ちゃんと雑誌に載ってたじゃない。春物のグラビア撮ったんでしょ?」
そう言われても玲子にはよく分からない。雑誌?グラビア?私が?
「何かの勘違いじゃないの?だってJanJamってあのJanJamでしょ?あんな有名な雑誌に私が載るわけないじゃない」
「だからこっちは驚いてるんだってば。ちゃんと玲子の名前だって載ってたし、いい加減認めないと怒るよ、ホント」
JanJamという雑誌は、20代半ばから後半までの女性に圧倒的に支持されている女性誌だ。何かで見たニュースによれば、女性誌の中で広告料はトップらしい。ただ、玲子はそもそも女性誌というものをあまり読まない。時折好きなタレントのインタビューが載っていたりする時に立ち読みするくらいで縁がない。友美だってそれは分かっているはずだ。そんな玲子が雑誌のグラビアをやるわけがないではないか。友美は冗談で怒っている風を装っているが、玲子は何だか本当にイライラしてきた。
「私知らない。たぶん他人の空似じゃない」
そう言って仕事に戻る。何だかモヤモヤする。私が雑誌なんかに載ってるわけないじゃない。これまでだって極々普通のOLをやってきたんだし、学生時代だって目立つようなことは何一つしてこなかった。雑誌のグラビアなんて、時計の針が逆に進んだってやらないだろう。
しかし、そう言われるとJanJamが気になる。帰りにちょっと立ち読みをしてみようか。偶然私に似ていて、偶然私と似たような名前の人なのかもしれない。って、まあありえないでしょう、そんなこと。
モヤモヤした気分を引きずったまま昼休みを迎える。冬は特に外に出るのが億劫で、いつも社員食堂を利用するこtにしている。
「読んだよ、日程ウーマンのコラム。面白かったわ。でもあそこまで書いちゃって大丈夫なの?俺のことは書かないでおいてね」
そう言ってきたのは、別の部の先輩である。仕事上の関わりはほとんどないのだけど、何かのきっかけがあって時々社員食堂で一緒にご飯を食べるような仲だった。
「コラム?ねぇ、それなんの話?」
「何言ってるの。玲子ちゃん実名でコラム書いてるじゃない。しかも、ぼかしてるけどさ、中の人間が読んだら会社のことだって一発で分かるよ。まあそんなにヤバいことは書いてないみたいだから大丈夫だろうけどね」
「私コラムなんて書いてません。皆さんで私のことをからかってるんですか?」
友美のJanJamと言い、この日程ウーマンといい、私が何かの雑誌に関わっているなんてことがありえるわけがない。だとすれば、私に嫌がらせをしているとしか思えない。
しかしそう言うと彼は、それまでの笑顔を引っ込めた。そして真剣な口調で言う。
「ホントに書いてないの?でも、名前は玲子ちゃんのものだったし、書いてある話も玲子ちゃんの周りの出来事だと思うんだけどなぁ。誰かが玲子ちゃんの名前を騙ってコラムを書いてるとか?」
その口調から、嘘をついているようには思えなかった。
私はわけがわからなくなった。一体何が起こっているというのだろう。
「なんか怖いです。朝も同僚からJanJamのグラビアを見たって言われたばかりで。私全然そんなことした覚えないんですけど」
そういうと、うーんなんか変な話だね。でもあんまり気にしない方がいいかもね、と言って話題は変わった。彼との会話中私は上の空で、ずっとこのことを考えていた。
それから仕事に戻ったのだけど、その後も何度もこういう話をされることになった。
「小説現実で小説の連載してない?プロフィールを読むとどうも玲子としか思えないんだけど」
「パソコンについて詳しいんだね。NET WORK BIBLEで記事書いてるでしょ」
「玲子が東京生活でレポートしてたイタリアンレストラン、ちょっと今度行こうよ」
「ちょっとあの実感実話の写真はヤバくないか。モロ出しじゃん。目線入ってるけど、見る人が見たらお前だってバレバレだって」
「映画時評で…」
その度に私は、知りません、私じゃないです、人違いだと思うんですけど、何ですかそれ、これって何ですか嫌がらせですか、と言い続けなくてはいけなかった。最後の方にはもうはっきりと怒っていたし、誰かの悪意を感じたし、何か話し掛けられるだけでイライラした。みんなで馬鹿にして、と何か物を投げつけたくなった。
しかし、帰りがけ、一応確認のためと思って寄った本屋で、玲子は打ちのめされる。
確かに、言われた雑誌すべてに玲子が載っていたのである。写真も名前も文章の感じも、全部まさに玲子そのものだった。他の誰でもありえない。紛れもなく自分がそこに存在していた。
しかし、ありえない。ありえないのだ。玲子には、グルメレポートをした記憶も、全裸の写真を撮られた記憶も、コラムを書いた記憶もまったくないのだ。
ねぇ、あなたは一体誰ですか?
どう見ても私にしか見えないあなたは、本当は誰なんですか?

一銃「初めて会った自分」

そろそろ内容に入ろうと思います。
本作は、文藝春秋に入社し「週刊文春」を日本一の週刊誌に育て、以後会社を何度も替わり、「uno!」「マルコポーロ」「編集会議」などの編集長を経て、現在「Will」という月刊誌の編集長を務める著者が、「リベラル・タイム」という月刊誌に連載している、自身の編集者としての経験を綴ったコラムをまとめた作品です。
まあ出版業界の編集者には名物編集者というのがたくさんいるのでしょうけど、恐らくこの花田氏もその一人なんでしょう。僕はまあ、顔だけは見たことあるな、と言った程度の認識でしたけど。
内容としては、まさに編集者だった自分のこれまでを振り返って、あんなことがあったなぁ、こんなことがあったなぁ、という体験談を語っていくというものです。これがなかなか面白いですね。というか、濃密なんです。編集者という職業はとにかく人間と深く深く付き合って行かないとやっていけない商売で、その過程で生まれた様々なエピソードについて書いています。
一番多いのは文藝春秋に在籍していた頃の話で、入社したての頃の大物作家から原稿をもらってくる話や、「週刊文春」時代の危なかった話、面白かった話、自慢できる話などまあとにかくネタが尽きないな、という感じです。
そもそも編集者が付き合う相手というのは作家という人種で、この作家という人種がとにかく変人の極みみたいな連中ばっかりなのだからネタはどこからでも湧いてくる。しかもそれに加えて編集者という人種も変人なわけで、その相乗効果でますます変なことが起こる。とにかく傍から見ていると無茶苦茶だよなぁ、という話ばかりである。
作家の家に毎日通っているのに、やっとくれた原稿がタイトルの一行だけだったとか、取材費を無茶苦茶使って豪遊する作家だとか、会社と縁のある人をバッサリ斬る記事をうっかり雑誌に載せてしまったとか、普通取れないインタビューを超ウルトラC級の裏技で掠め取ったとか、警察も捕まえることの出来なかった犯人をあっさり見つけ独占インタビューをしたとか、編集部になんとスパイが潜りこんでいたとか、デヴィ夫人に訴えられたとか、田中真紀子に雑誌の販売差し止め請求が出されたとか、まあそんなような話がたくさん載っていて、どれもこれも面白いものでした。
恐らく編集者の誰もがこういう経験をしているというわけではないのだろうな、と思いました。つまり、いい編集者(つまりこれは変な編集者ということだけど)の元にはいい人(つまり変な人)が集まるという話で、きっとこの花田氏だからこそ経験しえたことばかりなのだろうなと思いました。
しかし本作を読んでいてとにかく僕が思ったことは、どう転んでも僕には編集者なんて商売は向かないなということでした。どこまでも深くそして粘り強く人と接しなくてはいけないわけですが、出来る限り人とあっさりした関係を築きたいと思っている僕とは対極の位置にある存在である。まあまず無理だろう。僕としては、本を通じてお客さんと仄かに通じ合う、ぐらいの距離感がやっぱりいい。
本作が、これからマスコミの道へ進みたいと思っている人にどれだけ役に立つのかというのは僕にはなんとも判断は出来ませんが、しかし読み物として面白いことは間違いないですね。変な人がとにかくいっぱい出てきます。編集者って大変なんだなって思います。いろんな裏話みたいなものも知ることが出来ますね。まあ読んでみてください。

花田紀凱旋「編集者!」


編集者!ハード

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2008年02月26日

深夜にアンテナがキャッチ カウボーイビバップが衛星放送スタート

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時計が午前零時を回ったころ、某所で『カウボーイビバップ』が衛星放送をしていること知った。お風呂上りで、テレビをつけたら第1話が終わってて「あぁ〜」間に合わなかったと落胆。が「第2話を放送している」と教えてもらって、慌ててテレビをつけて見た。以前から見てみたいと思っていたので、とても嬉しい。初めて見た感想は肩肘張らずに、面白い。次週はお休みで、第3話、第4話は3月10日(月)の深夜に放送。

NHKの公式サイト
http://www3.nhk.or.jp/anime/cowboy/

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時計が午前零時を回ったころ、某所で『カウボーイビバップ』が衛星放送をしていること知った。お風呂上りで、テレビをつけたら第1話が終わってて「あぁ〜」間に合わなかったと落胆。が「第2話を放送している」と教えてもらって、慌ててテレビをつけて見た。以前から見てみたいと思っていたので、とても嬉しい。初めて見た感想は肩肘張らずに、面白い。次週はお休みで、第3話、第4話は3月10日(月)の深夜に放送。

NHKの公式サイト
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2008年02月26日

「スカーレット・ウィザード〈1〉」茅田 砂胡


「スカーレット・ウィザード〈1〉」茅田 砂胡
235p中央公論新社

宇宙きってのお尋ね者のケリーに 仕事の依頼が あった。依頼をしたのは大女のジャスミン。依頼は 1年だけと言う 条件つきの婚姻だった。

ファンタジー。しかも スペースもので、戦う女のお話だよ。
久々に 岬美由紀を見た感じ。ただ もっと ファンタジーなんだけどね。
強い女ってことには 変わりない。


いやん 次が 読みたいよ〜〜

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