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2008年01月30日

「ニッポンの単身赴任」重松清

北海道から上海、南極まで、単身赴任の仲間20人をルポルタージュ。

仮名が数名居るものの、リアルな単身赴任生活が分かります。
予想していたよりもマジメなお父さんたち。
家族がばらばらになるというマイナスイメージしかありませんでしたが、以外や以外、家族を結束・団結させるチカラもあるようです。
それぞれの勤務内容、家族構成、赴任先での待遇や仕事仲間の話がそれぞれの状況を作っている。

私の父も5年間単身赴任をしていました。
私はまだ結婚もしていないし、今の生活には関係の無い話ではありますが、さすがシゲマツ。
どの話もほんのり温かく、じーんとさせられました。
出て行く側、見送る側、帰る側、待つ側。
家族って良いですね。ほんとに。

ニッポンの単身赴任 (講談社文庫)
ニッポンの単身赴任 (講談社文庫)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 600
  • 発売日: 2005/10
  • 売上ランキング: 238120
  • おすすめ度 4.0

★8/10

2008年01月30日

「繁殖」

「食中毒なの?」
 惨めな気分でうなずいた。それと同時に、電話が鳴った。野村が素早く受話器を上げた。
「はい、分かりました。保健所へは私どもから……」
 野村の声がどこか遠くから聞こえてくるようだ。胃の辺りが絞られるように痛んだ。

「繁殖」仙川環著(小学館文庫)   ISBN:9784094082302 (4094082301)

楽しい幼稚園での食事会が暗転した。子供たちが次々に、嘔吐や腹痛に見舞われたのだ。しかも単純な食中毒ではないらしい。苦悩する教諭の聡美と、恋人の桧垣。

「小さな物語」だ。環境問題やバイオテクノロジーを背景にはしているが、驚異の技術とか息詰まるアクションは登場しない。結末の「納め方」もちょっと消化不良。代わりに、登場人物たちの目の前にいる恋人や妻子への思いが、丹念に描かれる。可愛い子供たちの写真を使ったカバーの印象がぴったり。

「医療ミステリー第3弾」と銘打っているものの、そういうシリーズ感はあまりない。もしかしたら、何か全く違ったタイプの物語への、小さな助走なのか。たて続けに発刊となる次作が気になる。(2008・1)

2008年01月29日

「いっしん虎徹」山本兼一

いっしん虎徹
いっしん虎徹
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2007/04
  • 売上ランキング: 191398
  • おすすめ度 5.0


近藤勇が虎徹を持っていたという説があることは、新選組が好きな者としては常識である。
司馬遼太郎の「新選組血風録」にもあったと思う。但し、そこでは彼が使っていたのは
偽虎徹だった、という説だったけども。
勝手に近藤勇のイメージをあてはめてしまい、斬れそうな、雄々しい印象がある刀。
っていうか見たことはないんだけどさ。もちろん。
この本は、その虎徹を作った刀鍛冶、長曽根興里(後の虎徹)の生涯を描いた1冊。

2008年01月29日

ポール・オースター【トゥルー・ストーリーズ】

ちょっとした偶然がつくりだす、忘れられない瞬間を淡々と綴るエッセイ集。

著者みずから目次を組んだ独自編集。翻訳は柴田元幸。


トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫 オ 9-10)トゥルー・ストーリーズ
(新潮文庫 オ 9-10)

(2007/12)
ポール・オースター

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評価=☆☆☆☆  (5つ星が最高点です)


オースターさんの貧乏生活、ご本人にはさぞ辛かったと思いますが、これが読むと面白い。

若いころから作家になりたいという気持ちはあったものの、「とりあえず一般企業で働いて生活費をかせぎ、あいた時間に作家活動をしよう」なんて、さらさら考えてなかったみたいです。

貧乏生活の最大の原因は、オースターさん自身にあったわけですね。



かといってご自身を責めるわけではなく、痛々しい悲壮感もなく、「若いころのオレってバカだったな〜」という軽い笑いを含みつつ、力いっぱい走りつづけた青春時代を懐かしむお気持ちが見受けられます。

いい本です。



訳者あとがきによりますと、オースターさんのエッセイ集は英語圏で増刷されるたびに収録エッセイ・インタビューが増えていて、このようなやりかたにオースターさん自身は納得なさっていないとのこと。

本書は「日本で次にエッセイ集を出すならこうしてほしい」というオースターさんの希望のもとに出されたものだそうです。

オースターさんが"True Stories"という本を書き、それを柴田さんがそのまま訳したというわけではありません。原書で読みたいとお考えのかたはご注意を。



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