僕の記憶の中では、小学校時代というのはとにかく女子の方が強かったな、という感じがある。それも高学年になればなるほど、である。
低学年の頃は、性別というのはほとんど関係ない、ただの子供である。男子も女子もいっしょくたで特に違うって言うことはない。もちろんその中にはなんとなく序列みたいなものが出来たりするのだけど(いや、小学校によっては明確に序列が出来たりするのかも。僕のいたところは比較的平和だっただけかもしれないけど)、まあお互い同志だぜ、みたいな関係である。
しかし高学年になっていくにつれてそうではなくなっていく。段々と女子が男子から離れていくのである。
恐らくこの表現は正しい。女子の側からすればどう感じているか分からないが、男子の側からすれば女子が離れていくという表現になる気がする。
原因は明らかである。要するに、男子よりも女子の方が早く成長するのである。第一次性徴期とかなんとかそんな名前だった気がするのだけど、それが確か女子の方が早いのだ。
するとどうなるか。女子の側からすれば、男子が幼く見えるのだろうと思う。僕の中には小学校の頃の記憶はほぼないのだけど、ただなんとなくそんな気がする。男子というのはいつだって馬鹿な生き物で、いつまでもふざけたり喧嘩したりしているものだ。それを女子は、子供だわねぇ、なんて思いながら見ているわけだ。
また、たぶんその第一次性徴期とやらに関係あるのだろうけど、この時期女子の方が背が高い。僕は、今でこそ180cm近くあるのだけど、小学校時代は列に並んだ時に前から3番目くらいというかなり背の低いお子ちゃまであった。一方で女子の身長というのは何故かぐんぐん伸びる。あの頃の体格の差というのはかなり大きいわけで、そうでなくても僕は誕生日が3/29という極端な早生まれであるために、相手によっては丸1年くらい成長が遅かったりするわけで、あの時期はなかなか哀しかったなぁ、となんとなく思う。
まあ要するにそんな感じで小学校の頃の女子というのは強いものである。具体的な記憶というのはほとんど挙げようがないのだけど、そんな感覚だけは残っているものだ。
僕は、今でこそ人にあれこれ文句を言ったりするいけ好かない人間なのだが、小学校時代を含めた子供の頃というのはとにかく弱っちい存在だった。あんまりちゃんとは覚えていないのだけど、いじめとまではいかないけどからかわれたりとかはしていたような気がする。下校時に先輩のランドセルを持たされるとか、上履きがどっかになくなるとか、教室でズボンを脱がされるとか、まあ結構そういうことはあったと思う。我ながら情けないものである。しかしほぼ記憶に残っていないので、そこまで酷くもなかったのだろう、と勝手に思っているのだが。あるいは忘れたいほど嫌な記憶だったか。ってんなわけないけど。
本作を読んでふと思ったことは、そういうからかわれたりしている時に女子に助けられたりとかしたらどうなんだろう、ということだ。
正直、それは結構嫌だなぁ、と思うんじゃないかって気がする。確かに小学校時代女子は強かった記憶がある。まあもちろん人それぞれだったと思うけど、でも全体としては男子よりも女子の方が強かったと思う。であれば、僕が何かされている時に助けるなんてことも、やろうと思えば出来たのかもしれない。
しかしやっぱり男子としては女子に助けられるのは恥ずかしいものだ。女子なんかに助けてもらって、とまたからかわれるかもしれない。まあ女子としても、また男子はアホなことやってるよ、ほっとこほっとこ、ってな感じだったのではないかと思うので心配するようなことでもないのだろうなとは思うのだけど。
思い返して見てもほとんど思い出すことは出来ないけど、でも大雑把な印象として僕は、学校における人間関係というのは辛いな、みたいに思っていたのではないか、と思う。学校が嫌だったわけではないけど、でもちょっとそこでちゃんとしていくには疲れるなぁ、みたいな。いや何が言いたいかと言えば、マコトみたいな女子がいたらすこしは何か違っていたのかなぁ、ということなんだけど…。
うーむ、どうもうまく文章を書けないのだなぁ。残念。
そろそろ内容に入ろうと思います。
本作は「小学四年生」という雑誌に連載され、文庫オリジナルとして出版された本です。
本作は、現在では作家になっている著者が、小学校時代のある時期のことを綴った「ひみつノート」を見つけ、懐かしい思いでマコトという一人の少女を思い出し、もしかしたら自分の出している本を見てくれるかもしれない、ということで現在ではどこで何をしているのかわからないマコトを探すためにマコトについての本を書いた、という設定の話です。
小学四年生の頃、ある一人の少女が転校してきました。その女の子は学校に来る前から噂になっていました。六年生でも登れない木の上に座ってたとか、一輪車に乗るのがすごくうまいとか、いじめられてた子を助けたとかそういう話です。またマコトは、僕のお父さんのかつての友人の子供でした。お父さんとその友達は小学校時代の友達なんだけど、お父さんの友達、つまりマコトのお父さんはもう亡くなってしまっています。
マコトは僕と同じクラスになりました。ちょんまげを結った髪型で、そのちょんまげがゆらゆら揺れています。その自己紹介でマコトは驚くべきことを口にするのです。
「わたしの夢は、この学校の番長になることです。」
さてそれからは、マコトの苦難の道が始まりました。というか、マコト自身はさほど気にしていなかったみたいですが、クラスの女子のほとんどがマコトを敵対視するようになったのです。そんな中でもマコトは番長らしく振舞い、次第に皆と打ち解けていくようになりました。
マコトと一緒に過ごした長かったようで短い一年間の出来事を、様々な場面に分けて綴った物語です。
いやはや、さすが重松清です、ってな感じで相変わらずいい話を書きます。本作も、もうベタはベタなんです。「小学四年生」っていう小学生向けの雑誌に連載されていたことからも分かるように、ありがちで分かりやすい話です。けどそんなベタな話でも、巧い作家がきちんと書けばすごくいい話になります。重松清というのはとにかくそういうことをやらせたら天才なわけで、だから僕はこのベタな小説を読んでところどころ泣きそうになったりしたわけです。
とにかくマコトというキャラクターがもんのすごくいいです。女子なんだけど番長になりたくて、強きを挫き弱きを助けるという精神で、スポーツは万能なのに何故か泳ぐのだけは苦手で、男勝りででも時々やっぱり女の子で、喧嘩も強いし泣かないしくちぶえもうまい。ほんと頼もしいし面白いキャラクターでした。本当に番長みたいな感じになっていて、同学年だけじゃなくて下の学年からも頼られるし、上の学年には恐れられているわけです。いやホントすごいですね。
僕は結構男みたいな女性が好きなわけで、だからこういう男勝りなマコトみたいなキャラクターはいいなぁ、と思ってしまいます。このままのキャラで大人になってくれれば…なんてどうでもいい想像をしてしまいました。
あとマコトにいつも振り回される主人公の僕(ツヨシ)もなかなかいい感じです。初めはダメダメな感じだったんだけど、マコトに影響されてどんどんと変わっていく。先生に怒られないようにってことばっかり考えていたのに、次第に怒られてもいいからちゃんとしたことをしようって思うようになるわけです。でまあもちろんマコトとのほのかな恋愛みたいなものも描かれるわけで、いい感じです。
マコトとツヨシの話だけじゃなくて、学校の友達とのあれこれや、ツヨシの家族との関わりなんかもホント面白くて、重松清はホントうまいわぁ、と思ってしまいました。
というわけで、非常にいい作品だと思います。本当に小学生から読むことが出来る本だと思います。子供に読ませるというのもいいかもしれませんね。オススメです。読んでみてください。
重松清「くちぶえ番長」
くちぶえ番長文庫
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