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2007年07月28日

池波正太郎「鬼平犯科帳1」★★☆☆☆

鬼平こと長谷川平蔵の活躍するシリーズ第一巻。
残念なことに一巻目では鬼平はそれほど派手な出番はなく、
事件の解決の際にかっこよく登場する程度。
これでは鬼平というよりも江戸怪盗小説ではないか。
しかもその悪人どもがまた酷い。
悪から盗み、小判をばら撒くような怪盗は出てこず、
盗む、殺す、犯す、なんでもありの野獣ばかりが登場する。

だからこそ逆に、鬼平の登場が待ち遠しく、
解決に胸がすっとするのかもしれないが、
私にはそこまでたどり着くのが非常に苦しい。
やはり、エンターテイメントの悪党は誇りと美学を持っていてもらわなければだめだ。
ルパンとか、ルパン3世とか、そんな感じで。

後書きによると、2巻目からは鬼平の活躍するシーンが増えるらしいので、
もう少しシリーズを追いかけていこうかと思う。

唖の十蔵
本所・桜屋敷
血頭の丹兵衛
浅草・御厩河岸
老盗の夢
暗剣白梅香
座頭と猿
むかしの女




池波 正太郎 / 文藝春秋(2000/04)
Amazonランキング:39608位
Amazonおすすめ度:

2007年07月27日

恩田陸「夜のピクニック」★★★★★

高校が共学でなかった私にはちょっと羨ましいいい話。
まぁ、それでもだからこその面白さもたくさんあったけどね。
他校の生徒に騒がれたりとかさw(負け惜しみ

北高の大イベント、夜のピクニック。
丸一日かけて80kmの道のりをただひたすら歩きとおす、
一部の生徒には不評な、でも楽しみなイベント。

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。



賭けというよりも、願掛けか、
上の文をはじめて読んだ時には
よくあるような恋愛小説かと思ってたんだけど、
まったくそんな単純な話ではなかった。
もっと複雑に、恋と友情とライバルと…
いろんなものがごっちゃになって少し泣きたくなる。
ちりばめられた伏線を回収しつつ収束するラストは爽やかでよい。
どうせならこいつらの大学生活も覗いて見たいのだけど。

主題歌の「フタリ」を収録した、
Monkey Majikのアルバム「空はまるで」も先日発売されたばかり。
映画は見ていないけど、なかなか名曲。

うたばんでやったモンキーマジックはよくなかったなぁ。
アルバムのガンダーラのほうが断然かっこいい。
それにしてもMC二人の外人相手の場合のへたれっぷりは酷い。
他の初登場の人相手のときはいじめっ子全開で馬鹿にしまくるのにね。

むぅ、カトリシンゴの声はせめて曲の頭だけにしておいてほしかった。


MONKEY MAJIK / ?G?C?x?b?N?X?E?G???^?e?C???????g(2007/07/25)
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恩田 陸 / 新潮社(2006/09)
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よかったです。
恩田氏の凄さって・・・
新しい青春小説

2007年07月27日

▲ 夜明けの街で 東野圭吾

夜明けの街で夜明けの街で
東野 圭吾

角川書店 2007-07

男って莫迦…。
女って恐い…。

という感想。

さすが東野圭吾作品だけあって、読みやすいし、構成もしっかりしていて、十分面白かったんですが…まあ、それだけ、っていう感じでした。

ミステリーというよりは、不倫小説でした。細かい事を考えなくても、犯人は途中でわかっちゃいました。動機まではさすがにわからなかったので、ラストまでしっかり楽しむことができましたけどね。

でも、不倫小説としては、薄いんですよねー。特に、主人公のキャラクターが、不倫小説の主人公としては、どうにも薄っぺらくて…。ごく一般的な妻子のある男性が、ずるずると久しぶりの恋愛にはまっていく過程は、なかなか自然に描かれていたと思うんですけど。それなのに、どうにもこの不倫に説得力がないのは、彼のキャラクターが薄いせいかな、と、思いました。もう少し彼が、中年の男性らしい魅力を持っていたり、くせのある人物だったりしたら、リアリティも、説得力もある小説になっただろうに、と思いました。

不倫の最中の彼の頭の中ったら、まるで中学生みたいに、恋愛のことでいっぱいなんだよね。普通、大人の頭の中っていうものは、もうちょっと、複雑なものでしょうよー。クリスマスイブだの、バレンタインだの、イベントごとに振り回され、シチュエーションに酔い、雰囲気に流され…という完全な「夢見る夢子ちゃん」なキャラクターで、若干ひきました。まあ、そんな彼だからこそ、ああいう展開で不倫をし、ああいう結末を迎えてしまうんでしょうけれど…。

東野圭吾作品は、読む前の期待度が高くていけませんね…。十分面白い本でも、つい辛口の感想になってしまいます。
 

2007年07月27日

絲山秋子【ダーティ・ワーク】

ギタリストの「熊井」は常にギターを離さない。それは心底ギターを愛しているから――というより、ギター以外に何もないから。

先行きに不安を感じながら、孤独をかみしめながら、今は会えない「TT」を想いながら、今日も熊井はギターを弾いている。


ダーティ・ワーク ダーティ・ワーク
絲山 秋子 (2007/04)
集英社

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中身を知らずにタイトルだけ見たときの印象と、本を読み終えた後の印象が、大きく違います。正直なところ、このタイトルの意図がよくわかりません。

でも読んでいる最中はタイトルなんかどうでもよくて、かなり引き込まれました。熊井とは年齢的に近いし、その心情には共感できる部分がたくさんあります。



本書は一種のラブストーリーなんでしょうけど、熊井がTTを想う気持ちは温度も湿度も低い。ずきずき胸が痛むことはないし、「好きな人いないの?」と問う人にTTのことを話すこともない。話さないというより「話せない」のほうが近いかな。いい歳して片想いもないだろ、とか言われそうだもの。

ただ胸の奥のほうにTTへの想いがあるだけなんですね。連絡先も知らないし、積極的にTTを探そうという気にもなれない。TTへの想いを「ひきずってる」のとは違う。TT以外の人と交際したこともあるけど、うまくいかず、いまだに熊井は独り者。

ギタリストといってもテレビに出るわけじゃなく、花形ミュージシャンのバックでギターを弾く、職人っぽいギタリスト。暮らしはそんなに豊かじゃない。どちらかといえば、貧乏。TTへの気持ちは置いといて、自分がギタリストに向いているかどうかも置いといて、とにかく仕事しないと生活できない。

先行きに不安はある。でも健康診断なんて不安を増長させるだけだから「しゃらくさい」っつって、受けずに済ませようとするのね。

ところが、しぶしぶ受けさせられた健康診断で「再検査を要する」という結果が出た。熊井の不安は色濃くなる。熊井とTTとを結ぶ糸は切れちゃったまま。



……と思っているのは熊井だけで、意外なところに意外な糸があって、それを熊井は気づいてない。

はたして熊井は気づくのか。それとも気づく前に何かとんでもないことが起こってTTとは会えないままに終わるのか。



ところで「熊井」とか「TT」とか書くと、それが男だか女だか、読む人には分かりませんよね。

こういう書き方が作品中では巧みな仕掛けになっています。ひとりの人物を男だと思って読んでいると代名詞が「彼女」だったりして、なかなか面白い効果を上げています。

ただ中盤では、この仕掛けが私には少し凝り過ぎに感じられて、かなり混乱しちゃいました。あまり凝ったことをしなくても、面白い小説ではないかと思いますが、「これぐらい凝ってるほうがいい」とお思いのかたもいらっしゃるでしょうし、意見は分かれるかもしれませんね。



巧みな仕掛けに敬意を表して、また本書をこれから読む皆様の楽しみを損なわぬように、登場人物の性別が分かってしまう「妄想キャスティング」は省略させていただきます。あしからず。

2007年07月27日

中山可穂【ジゴロ】

新宿二丁目でギターをかかえて歌う「カイ」は筋金入りのレズビアン。

女たちはカイの歌を聴いて、ひびわれた心を潤す。カイは一人の女に狙いを定めて声をかける――おなかすいたね。なにか食べにいこうか。

その後のことは女たちにとってカイの歌ほどには甘くない。


ジゴロ ジゴロ
中山 可穂 (2006/05)
集英社

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それにしてもレズビアンのジゴロは大変そうです。男と女が出会って意気投合したらラブホテルへ行けばいいけど、女どうしでは入りづらい――言われてみれば確かにそんな気がします。

カイが利用するのは女どうしでも入りやすい、感じの良いラブホテルだけど、これは著者の想像の産物かな? 実在するとしたら都会だろうな。田舎の埃っぽい道路っぷちにこんなラブホがあるとは思えない。レズビアンのカップルだけでラブホ経営が成り立つかどうかも分からないし。

感じの良いラブホなら男女のカップルも利用するし、充分に経営できるんじゃないの……と本書を読みながら考えましたが、それはレズビアンの心情を解しない不粋な言葉でありましょう。やはりラブホは男女用・レズビアン用が別であるべきなのでしょう。



そんなわけでカイの赤革の手帳には、「使えるラブホ一覧」とか、「美味しいものを食べられる店リスト」など、ジゴロの必須アイテムとでもいうべきものが記してあります。

しかし携帯電話を持っていない。一般的には携帯電話こそジゴロにとって必須中の必須アイテムなのに、カイは携帯電話が本命の恋人との仲をおかしくした原因だと感じており、とうてい持つ気にはなれません。

ではカイは過去の恋人を忘れられないがために他の女性と夜な夜な遊んでいるのかというと、それは違う。本命の恋人とは同居中なのです。

「一人の女を愛するために百人の女と寝ることもある」とカイは豪語し、恋人とのねじれた関係さえも女の同情を引くための武器にする。

カイと女との関係は最初から袋小路。それを知っていながら女たちは恋の終わりに苦しみ、あがき、「あなたって最低ね」みたいな言葉を吐いちゃう。そこで「そうさ最低さ」と確信犯的に開き直るカイに、つける薬はありません。



だけどカイにはカイの事情がある。重荷がある。本命の恋人との暮らしは重いもののバランスをとりながらでないと成立しません。

カイに遊ばれた女が結婚生活にどんな不満を持っていようと、どんな孤独を抱えていようと、そんなことをカイは斟酌していられない。恋人との暮らしで抑圧されたものがある分、外ではパーッと好き勝手にしていないとやりきれないんですね。

なんとも厄介な恋愛模様ですが、結末は意外なほど明るくて低湿度です。

2007年07月27日

「俳風三麗花」三田完

俳風三麗花
俳風三麗花
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 2,300
  • 発売日: 2007/04
  • 売上ランキング: 39156


直木賞候補になるまで全然知らなかった作家、作品。
候補発表日に図書館に行ったら普通に置いてあったのでとっとと借りてきた。
表紙もなんだかいい感じだし、受賞するとは思ってなかったけど、面白そうだし。

結果をみてみれば受賞はしなかったが、大本命だった北村氏の作品と並んでの
次点に挙がっていたようだ。そのニュースを知ったのはこれを読んだ後だったから、
さもあらんって感じではあった。だって面白かったんだもの。
きっと選考委員のおじさま達も好きだろうと思うし、若い人も好きだろう、
特に女子はまた別の意味で好きだろうと思う。案外万人受けする作品だ。地味だけどね。

前に千野帽子の「文藝ガーリッシュ」を読み、ガーリッシュと紹介されている本を
数冊読んでなんとなく「ガーリッシュ感」がわかった気になっている私だが、
この本はまさに「ガーリッシュ」、もう少し前に書かれていたら千野帽子も選んだに違いない一冊。
妙齢の女性の恋の恥じらいとか心の揺れとかその若さ故の美しさとかがきらきらしてて、
私の心の奥底に眠っている乙女心が重い腰を上げて出てきてしまった作品でした。
それが上品な文章とまだきなくさくない昭和初期の時代背景と、あと句会という独特の場所の
雰囲気と相まって、なんとも言えない上質な空気を醸し出していました。ステキです。

2007年07月27日

「小説秦の始皇帝」

窮しているときは、平然と下手に出て相手の機嫌をとりむすぶが、志を得て成功すれば、人を軽んじ食い物にしてはばからないだろう。私は無位無冠だが、彼は私に会うとき、へりくだって応対する。
 秦王が天下を取れば、天下の人々はすべて彼の虜になってしまうだろう。ともに久しくつきあえば危険な男だ

「小説秦の始皇帝」津本陽著(角川春樹事務所)

数奇な生い立ち、苛烈な闘いで統一中国を打ち立てた始皇帝の生涯。

教養の範疇に入るであろう逸話が満載なのだろうが、不勉強なので圧倒されながら読んだ。「白髪三千丈」というけれど、とにかく話のスケールが大きい。戦闘シーンだと「四十万人を生き埋め」とか、さらりと書いてある。導入部分の親子の愛憎劇とかでも、どろどろした内容なのに修飾語を多用せず、淡々と綴る。

それよりも意外に行数を割いているのは、臣下が王を説得する術だ。始皇帝は鋭い眼力で有能な人物を見出して登用し、目を見張る法治国家、中央集権国家を築き上げた。しかし上に立つ者は、えてして冷酷。仕える側からすると、嫌われずに諌言し、疎まれずに長く生き延びるのは至難の業だ。そこに様々な悲劇も生まれる。

著者は英雄の残虐や不徳も、さほど価値観を差し挟まず記していく。だからかえって晩年、周囲に意見する人物もいなくなり、方子に振り回されたり、自画自賛の碑をたてまくったりする姿が痛ましい。彼の死後、まもなく帝国は瓦解する。(2007・8)

2007年07月26日

精霊の守り人(上橋菜穂子)

大人になるにつれて、守らなくてはいけないものというのはどんどんと増えていく。
子供の頃は守られる立場にいる。周りの人間に助けられ、庇護されながら生きていくのだ。もちろん子供にだって守らなくてはいけないものはあるけれども、それはちょっとした優越感であるとか、あるいは些細な立ち居といったようなもので、必死で守らなくてはいけないというものでもない。
しかし大人になればなるほど、自然守るべきものは増えていく。
自立し一人で生きていかなくてはいけなくなると、自分が立っている不安定な立場であるとか、あるいは大人としての責任感だとか、あるいは家族であるとか、そういう様々に守るべき対象が増えていく。守るべきものが増えすぎて、大人というのはどんどん身動きが取れなくなってしまうように僕には思える。因果なものである。
僕は大人と呼ばれる年齢になってはいるけれども、しかし守るべきものをなるべく持ちたくないと思っている。僕が人生から逃げ続けている理由の多くはここに帰するのではないかと思う。
とにかく僕の人生は、守るべきものをいかに殺ぎ落とすかということに費やしてきた人生であった。守らなければならない状況から逃げ、それを手にしてしまったとすればすぐさまそれを捨て、常に身軽であることを選択してきた。そのためにきちんとした大人になることは出来ていないし、今でも必死で逃げ回っている卑怯者であるのだけど、しかし今の生き方を変えるつもりは特にはない。
僕にはどうしても不思議で、どうしてみんな大人になると、そんなに守る覚悟を身に付けることが出来るのだろうか、ということだ。誰もが大人になると、自分の生きる地盤を守るために潔くサラリーマンになり、またわざわざ苦労をしてまで守るべき家族を手に入れたりする。その他にも、生きていれば様々に余分な守るべきものが吸い付いてくるというのに、どうして人々はそれを平気な顔をして受け入れることが出来るのだろうか。どうしてもそれが分からないのだ。
子供の頃僕は、大人になる過程できっと何かが起こるのだと思っていた。今のままの僕が大人になってもまともな大人にはなれないことはずっと昔から知っていた。まともな大人になりたかった僕は、きっと人生のどこかで転機が訪れ、何かが大きく変化し僕をまともな大人へと導いてくれるのだと思っていた。というか、皆誰もが大人になるためにそういう過程を経るのだと思っていた。
しかし、別にそんなことはなかった。僕はずっと子供の頃の僕のままだったし、いつまで経っても変化はやってこなかった。もしかしたら僕以外の人にはそういう何かがやってきたのではないかとすら思う。自分だけチャンスを逃してしまったのではないだろうか。
今でも僕は、何かを守るという行為が酷く苦痛だ。それは、自分を含めた誰かの人生を大きく握ってしまうということである。僕はそれに見合う責任のある行動はどうしても取れそうにない。だから、なるべく人とは関わらず、ひっそりと生きていこうと思っているのだが。
守るものをたくさん持っているものはすごいと思うし強いと思う。羨ましいけど、でも憧れはしないという矛盾が僕の中にあって難しいのだけど、もっとちゃんとした大人になれればよかったのにな、と思うことはよくあります。
そろそろ内容に入ろうと思います。
バルサは恐るべき強さを持った女用心棒。お金で依頼を受けて、誰かを守るというのを仕事にしている。
そんなバルサが橋を渡っている時、その一本上流側の橋を皇族の行列が渡っていたことが、バルサの運命を大きく変えることになる。
牛が突然暴れ、乗っていた皇子が川に投げ出されてしまった。咄嗟に川に飛び込んで皇子を救出したバルサは、その後感謝の意を込めて宮殿での接待を受けることになる。
しかし話はそこで終わらない。バルサにとっては寝耳に水の驚くべき展開が待っていたのだ。
なんと、バルサが助けた二の妃の息子であるチャグムを引き取って欲しいと言われたのだ。チャグムには現在特殊な事情があり、その父親である帝から命を狙われる羽目になってしまった。自分の元からいなくなるのは淋しいが、しかし殺されてしまうよりも、例え遠くであってもどこかで生きていて欲しい。そう二の妃に言われ、バルサは依頼を受けることに決める。
そこからは、帝に使わされた追っ手から逃げる、チャグムとの旅が始まる。
チャグムに訪れた事情というのはいささか厄介なものであった。なんとチャグムの体には、ある生き物の卵が隠されているのだという。百年に一度卵を産むといわれるその生き物は、海の中にいて雲を生み出すと言われ、卵が無事返られなければ旱魃になるとも言われている。恐ろしいことに、その卵を食べようと狙っている恐るべき怪物の存在があるらしい。バルサは、帝からの追っ手とともに、その怪物からもチャグムを守らなくてはいけなくなるのだが…。
というような話です。
このシリーズは、まあもちろん昔から評判の高かったシリーズなのでしょうが、児童文学として出版されたためになかなか広く認知されることのなかった作品でした。しかしこれが新潮文庫に収録されるようになり、またNHKでもアニメ化されているということで、ちょっと今話題になっている作品だと思います。
僕はいつもファンタジー作品を読むと言っていることだけど、基本的にファンタジーというのは得意ではありません。子供の頃それに類するような作品も読んでこなかったし、RPGみたいなゲームだって一度もやったことがありません。ファンタジー系の漫画やアニメに触れたことも特になく、だから僕の中にはファンタジーの文脈というのがどうも欠如しているようです。
それでも、この作品はかなり面白いかもしれないな、と思いました。ファンタジーというのは詳しくないのであまりウダウダとは書けませんが、世間的な評判が高いのも頷けるなと思います。
ストーリー自体はどこまで変わったものではないと僕は思います。恐らくファンタジーではよくある展開ではないかと思います。何か秘密を持った人間が逃げ、その秘密を守らなくてはいけないと考えている勢力が追いかけるという構図で、まあよくあるものでしょう。
恐らく本作の評価が高いのは、背景の設定みたいなものが緻密であるというところではないかと思います。新ヨゴ皇国という国の伝説、もとからその土地に根付いていた伝説、星読博士の存在、バルサの来歴、その他多くの部分でその設定が優れているという風に思います。もちろんファンタジーをそんなに読み込んでいるわけではないので断定は出来ませんが、恐らく本作を高く評価している人の意見はそういうことではないかなと感じます。
またキャラクターが結構いいです。バルサやチャグムなどの主要な登場人物はもちろんですが、ほんの一瞬しか出てこない脇役でさえもどことなく印象を強く残す感じがあります。
バルサの恋愛やチャグムの成長など様々な要素が絡み、物語を一層深くしているし、またこの作品は<守り人>シリーズと言われるシリーズになっているのだけど、この後バルサとチャグムは一体どうなるのだろうかという部分も非常に気になります。とりあえずしばらくシリーズを読んでいこうかなと思います。
ファンタジーが好きという人なら手に取るべき作品ではないかなと思います。ファンタジーが得意ではないという人にも読みやすいんではないかと思います。僕は、「ハリー・ポッター」は1巻だけ読んでもういいかなと思いましたが、本作は続きが読みたいなと思わせる作品でした。アニメにもなってるようなので、それを観てからというのでもいいかもしれませんね。読んでみてください。

上橋菜穂子「精霊の守り人」


精霊の守り人文庫

精霊の守り人文庫

2007年07月26日

「野ブタ。をプロデュース」白岩 玄


「野ブタ。をプロデュース」白岩 玄
186p河出書房新社

第41回文藝賞受賞作
転校生のいじめられキャラ信太を 変身させるべく、プロデュースに乗り出したオレ 桐谷修二。


いまどきの醒めたヤツが、桐原かも。
スイスイ読めちゃう。

着眼点も ストーリーも 面白いんだよね。

ただ、最後の着地点が なんだかなぁ。

落ち着かないよぉ〜

2007年07月25日

小川洋子「偶然の祝福」★★☆☆☆

失くしたものを見つけてくれる綺麗なお手伝いさんの話が印象的。
というか、だいぶ前に読んだので他にちゃんと覚えていない。

女性作家の不思議な日常。
雰囲気が弟に似ている不思議なストーカーや、
入院した弟のお見舞いに通う綺麗な女性。
デビュー作の盗作疑惑、不幸な生活。
空想と現実の境目があいまいに描かれていて、
読んでいると今どっち側にいるのかわからなくなってしまう。

もう少し、起承転結がはっきりした話が好みだ。



小川 洋子 / 角川書店(2004/01)
Amazonランキング:78470位
Amazonおすすめ度:

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