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2008年10月29日

ウィルコム、03のフルキーボードがそそるけど

ウィルコムが2008年の秋冬モデルを発表した。
プライベートでは一貫してPHSを愛用してきた立場からすると、信じられない充実ぶりだ。
だがしかし、「W-VALUE SELECT」の呪縛が重い。

本来、機種変更をする際には数万円という端末代金が発生する。
しかし、「W-VALUE SELECT」を選択すると、2年間端末を変更できないかわりに、実質端末代金が無料になるような割引を受けられる。

長らく機種変更しなかったし、魅力的な端末に出会う機会もなかったので気楽に選んだのだが、こうなってくると苦しい。

03のフルキーボードをいじってみたい?????????`?i?????????j

2008年10月29日

用の美:人と喜びを分かつことのたのしさ

昨日の「されば地と隔たる器はなく、人を離るる器はない」というエントリーでは、柳宗悦さんの『工藝の道』から以下を引用しました。

されば地と隔たる器はなく、人を離るる器はない。それも吾々に役立とうとてこの世に生まれた品々である。それ故用途を離れては、器の生命は失せる。また用に堪え得ずば、その意味はないであろう。そこには忠順な現世への奉仕がある。奉仕の心なき器は、器と呼ばるべきではない。
柳宗悦『工藝の道』

基本的には「用の美」について述べた一文です。柳宗悦さんは「今の器が美に病むのは用を忘れたからである」とも書いています。「用と美と結ばれるもの、これが工藝である」とも書いています。

用の美はいわゆる機能美ではない

ところが、この「用の美」をいわゆる機能美として理解してしまうと間違いです。

ここに「用」とは単に物的用という義では決してない。
柳宗悦『工藝の道』

と柳さんは述べています。そして「唯物的用と云うが如きは概念にすぎない」として、同時に、「「美だけ」ということが、唯心的空虚であるのと同じである」とも言っています。

用とは共に物心への用である。物心は二相ではなく不二である。
柳宗悦『工藝の道』

不二とは、もとは仏教用語で、相対的でないことを指します。日常的、世間的、人間的な認識では相対立して現れる事柄が、仏教の高度な理解においては統一して捉えられることを示しています。
つまり、物心への用は、2つの異なる相ではなく、おなじ統一された用であると柳さんは言っているのです。

これが機能美でないのは明らかです。
そもそも機能は決して用ではありません。それはモノの側、システムの側の働きを示すのみであって、必ずしもそれが人の用を満たす働きになるとは限らないのは、世の中の多くの製品を思い出せばすぐにわかります。
しかも、その機能をさらに視覚的なデザインとは別に考えたりします。おなじモノづくりをするのに開発とデザインが分かれたりします。さらに、プロダクトデザイン、UIデザイン、システム設計などとなってくると、もう意味不明といわざるをえません。

用は不二であるはずなのに。

「多」の美、労働の美

『工藝の道』に所収された「正しき工藝」という文章のなかで、柳さんは、こうした用の美が、作家からではなく、普通の工人から生まれてくるということを繰り返し述べています。

初代の茶器に見られる雅韻は、いかにそれが多量に迅速に作られた民衆的作品であったかを語る。茶器はその中から選んだわずかなものに過ぎぬと云う人もあろうが、しかし多量につくられる品でなくば、選ぶということもできないであろう。茶器の美は「多」の美である。
柳宗悦『工藝の道』

大量に作り、多くの人に使ってもらうのだから、高いものではいけません。廉価であることが条件となります。「美が高き代価において購われると思うのは、全くの錯誤である」と柳さんは書いています。

そして、このことから「工藝の美は労働と結ばることなくしてはあり得ない」とも続けます。

人々は美しい作を余暇の賜物と思ってはならぬ。休む暇もなく働かずしてどうして多くを作り、技を練ることができるであろう。汗のない工藝は美のない工藝である。
柳宗悦『工藝の道』

前に「なぜ量が質を生み出す可能性を持っているのか?」というエントリーを書きましたが、たくさんのものをつくる労を嫌っては、よいものなどできるはずないと僕も思います。普段仕事をしてても感じますが、口先ばかり立派で手が動かない人がまともな仕事をするのを見たことがありません。

また、そういう人に限って、ろくに他人の作ったものを評価できない。けなすことはできてもよいものを見つけてくるということができません。
柳さん自身はものは作らなかった人ですが、日本各地や沖縄や朝鮮を歩き回って数多くの民藝を収集した人です。その成果が日本民藝館という形を成しています。ものはつくらなかったが、民藝というものをつくり、日本民藝館をつくりました。これは多くの物を見て目を養うことの重要性について書いた「もうひとつの量の追求」にも通じることです。



大学は職業学校じゃないんだから・・・

柳さんは器、工藝に関して述べていますが、これは決してそれらの範囲に限った話ではないと思います。人びとが必要とし、利用するモノのデザインにはことごとく当てはまることだと思いますし、さらにいえば人そのものにも当てはまるのではないでしょうか。

後年、次郎は親しい作家の一人、川口松太郎との対談で、

「日本の学問のやり方はいけないねえ、(中略)商売人になる奴が経済学、政治家になる奴が法律学なんて大間違いなんだよ」

といっている。
「週刊朝日」の名物編集長だった評論家、扇谷正造との対談では、日本の若者は一般に、法律や経済をやりたがりすぎる。実社会で経済活動をするときに、経済学は必要ない。一円で買ったものを二円で売れば一円儲かることは、経済学を勉強しないでもわかると、まことに明快で、

「大学は職業学校じゃないんだから、一般の常識というか、ものを考える力を養成すべきだと思うんだ。

といいきっているが、彼が7年間の留学生活で得た一番の収穫は、「ストラッフォード伯爵」の称号を持つロバート・セシル・ビング、通称「ロビン」という生涯の友を得ることができたことであろう。

これこそが「用の美」の拡大した例ではないでしょうか。
経済学や法律学より、一般の常識やものを考える力、さらにそれ以上に大事なのは生涯の友ということ。用という意味では、これ以上のものはそうはありません。

人と喜びを分かつことのたのしさ

夫の次郎がそうなら、妻の正子もまさに「用の美」を知る人でした。

正子は魯山人についてこう書く。

「金持ばかり相手にせず、安い日常品を沢山作っていたら、一世を風靡することも出来たでしょうに。一般の大衆も、もっと美しい道具がたのしめたでしょうに。人と喜びを分かつことのたのしさを、魯山人は、ついに知らずに終わりました」(『ものを創る』)

「人と喜びを分かつことのたのしさ」。まさにこれだと思います。

人の用にかなったものをつくること、その労働を厭わず精を出すこと、そのために学問に頼らずに自分の身体をつかって工夫し続けること、そういう具体的な行為を通じて人と喜びを分かつことを楽しめること。
そうしたことが結局、よいものをつくるためには必要なんじゃないかと思います。

僕自身、グループワーク型のワークショップをディレクションさせていただく機会が多いのですが、限られた時間内で成果を出せるワークショップでは、参加者が積極的に役割分担しながら作業を行う場合です。
逆に、手を動かさずに口ばかり動かしたり、参加しないで座っているだけの人がいる場合だと場は盛り上がらないし、結果としてできるものも質が低いか、ひどい場合、時間内になんの成果も出せなかったりもします。

結局、こういうところにいまの多くの組織が創造性を欠く根本的な原因があると感じます。
「人と喜びを分かつことのたのしさ」を知らずして、どうして多くの人びとに求められる「用の美」をもったものづくりができるのでしょうか。ここのところを個人も組織もちゃんと見つめなおさない限り、創造性もへったくれもあったものではないはずです。

  

関連エントリー

2008年10月28日

マグロと景気の関係

景気悪化でマグロが値下がりしているという。

2008年10月28日

au、秋冬ケータイはW63CA“EXLIMケータイ”に決まり(リンク集付)

W63CAを見た瞬間、愛用したINFOBAR2の時代が終わる予感がした。

auの新機種が発表
auの2008年秋冬モデルは、ひさびさに機種変更の気持ちを盛り上げてくれる。
合計7機種。

auには“フレンドリーケータイ”というインターフェイスを軸にした機種認定がある。
おかげでバランスのよい、実用性の高い機種が登場する。

特に、CASIOHITACHI
他のキャリアでは姿を見せないこの2社は、キーボードに主張がある。
表面に凹凸を作り、ボタンの間隔を最適化している。

はじめて、HITACHIを触ったときの感動はいまでも覚えている。
その後、CASIOに機種変更したときも、驚いた。

しかし、ここ1年以上、INFOBAR2を使い続けた。
決してバランスがよいわけではないが、ストレート型のスマートさを上回るだけの機種が登場しなかったからだ。

ようやく登場したW63CA。
登場次第、店頭で確かめてみたい。期待大???[???i?????????j

関連エントリー
INFOBAR2への3つの期待と1つの不安(前編)
INFOBAR2への3つの期待と1つの不安(後編)

関連サイト
カシオ携帯電話オフィシャルWEBサイト | 製品情報 | W63CA
8.1MカメラにWVGA有機EL、ワンセグも搭載する“全部入り”──「EXILIMケータイ W63CA」 - ITmedia +D モバイル
写真で解説する「EXILIMケータイ W63CA」(外観編) (1/2) - ITmedia +D モバイル
写真で解説する「EXILIMケータイ W63CA」(外観編) (2/2) - ITmedia +D モバイル
音声端末経由のPCデータ接続が定額対象に――秋冬モデルの3機種から - ITmedia +D モバイル(W63CA含む)
8.1メガカメラやワイド VGA 有機 EL 採用の「EXILIM ケータイ W63CA」 - japan.internet.com 携帯・ワイヤレス
8.1メガカメラ、ワイドVGA有機ELのEXILIMケータイ「W63CA」 - ケータイWatch
有機ELディスプレイ、ワンセグ……au2008年秋冬モデル7機種のスペックや対応機能・サービスを一覧でチェック! - デジタル - 日経トレンディネット
写真で見るau冬ケータイ──液晶とカメラの「究極美」 - ASCII.jp
W63CA - 全部入りEXILIMケータイ。 - 携帯総合研究所

2008年10月28日

au、秋冬ケータイはW63CA“EXLIMケータイ”に決まり

W63CAを見た瞬間、愛用したINFOBAR2の時代が終わる予感がした。

auの新機種が発表
auの2008年秋冬モデルは、ひさびさに機種変更の気持ちを盛り上げてくれる。
合計7機種。

auには“フレンドリーケータイ”というインターフェイスを軸にした機種認定がある。
おかげでバランスのよい、実用性の高い機種が登場する。

特に、CASIOHITACHI
他のキャリアでは姿を見せないこの2社は、キーボードに主張がある。
表面に凹凸を作り、ボタンの間隔を最適化している。

はじめて、HITACHIを触ったときの感動はいまでも覚えている。
その後、CASIOに機種変更したときも、驚いた。

しかし、ここ1年以上、INFOBAR2を使い続けた。
決してバランスがよいわけではないが、ストレート型のスマートさを上回るだけの機種が登場しなかったからだ。

ようやく登場したW63CA。
登場次第、店頭で確かめてみたい。期待大???[???i?????????j

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カシオ携帯電話オフィシャルWEBサイト | 製品情報 | W63CA

2008年10月28日

されば地と隔たる器はなく、人を離るる器はない

人間が使う道具をデザインするのに、それを使う人間のことを考えようとせず、いきなり完成形の形ばかりを気にする人がいます。ユーザー調査をすればそれで満足するのか、ろくに自分の頭で分析しようともしないで、ただひたすら答えを求めたり。
先日の土曜日に行った「ユーザー中心のWebサイト設計・ワークショップ2日目」の参加者がはからずとも言っていましたが、大事なことはユーザーの視点でデザインを考えていく過程です。その意味で昨日のワークショップに参加してくださった皆さんは、それぞれがあの場でユーザーの視点から考えるデザインの方法を学びとろうという意欲が感じられ、僕の方がいろんな勉強をさせてもらったくらいです。

一方で、そういう熱い気持ちを感じさせてくれる人はまれで、なんとなく仕事だからやっているっていう感じの人が少なくありません。
そういう方には、この柳宗悦さんの言葉を読んでみていただきたい。

私たちは労働を短縮することによって、幸福を保証しようとすべきではなく、労働に意義を感ずるように事情を転ぜねばならぬ。何故なら労働なき所に、工藝の美はないからである。人間の生活はないからである。
柳宗悦『工藝の道』

答えばかり求めて考えることに労力を割こうとせず、具体的な分析のための作業にも熱をこめない。自分ことばかり、ほかの人間のことを考えられない。そうした熱のこもらぬ仕事に、デザインの美も、人間の生活もないのでしょう。
人間のことを考えながら道具はどうあるべきかを発想していかないのならデザインなんかする必要がないのではありませんか?

しかも、そうした人たちに限って、人間のことを考えないばかりか、ユーザーインターフェイスといいつつ、ユーザーとのインターフェイスでつながるシステムの側のことも考えなかったりもします。

こうなると、いったい何をデザインしようとしているのかわからないくなります。人間のことも、システムのことも考えることもなく、知ろうともせず、どうしてユーザーインターフェイスのデザインができるのかが不思議に思うことが多い。個別のボタンやUIの振る舞いをどうこういっても仕方がないのです。それらはすべてあらゆる外側のものと相互作用的につながっているのですから。

因果関係を読み解く

ユーザー中心のデザインを考える上で大事なことのひとつに「因果関係を読み解く」ということがあります。

  • なぜユーザーはそれを選ぶのか。
  • どうしてその順番で操作するのか。
  • その場所、その時間に利用するのはどういう理由か。
  • 目の前のボタンに気づかず操作できないのは何の影響によるものか。

など。

人は環境にアフォードされながら生きています。
人が行う行動、人が認識する事柄、人の頭に思い浮かぶ思考の流れを、外の環境と切り放しては考えないのがユーザー中心のデザインを行う前提です。

ふだん、箸で食事をとることに慣れている人は、フォークとナイフでは食べにかったりもします。でも、それはフォークやナイフのデザインが悪いからではない。単に箸で食事をすることに慣れた人に合わせたデザインになっていないというだけのことです。
何が使いやすく何が使いにくいということは個別の道具のデザインだけで決まるわけではないということです。ほかの類似の道具との関係性もあれば、まったく無関係のものの影響を受けることもある。とうぜん、利用する人が人生のなかで経験してきた個々の歴史にも影響を受けます。

そうした様々な事柄が相互作用的に、人びとをつねにアフォードしているのです。人はみずからを取り巻く環境の因果関係のなかで行動決定のための判断をほとんど無意志的のうちに行っているのです。

用途を離れては、器の生命は失せる

だからこそ、人と外部の環境(それは決して目の前にある環境だけでなく、その人に影響を与える経験的な歴史や文化を含めて)を丸ごと把握し、分析しながらデザインを考えていくことが必要なのです。それはユーザー中心のデザインに限らず、デザイン・企画設計をする際の基本です。

その基本をおろそかにして人間のことを考えない、人間が行う行動の相互作用・因果関係を読み解くことを丁寧にしようとしない人が多い。いや、実際にはそうした相互作用や因果関係を読み解く技術がなくて考えられない人がほとんどです。
ワークモデル分析などをやってみると、それが顕著にわかります。5W1Hで人間の行動を整理しながら、どの行動と行動が、どの人とどの人が、どのものとものとが影響し合って存在し、いくつもの流れを生み出しているかということをイメージもできなければ、描きだすこともできません。

それでは、人が扱う道具のデザインなどできるはずもありません。
そして、道具のデザインができないということは、あらゆるデザイン、企画設計ができないのとおなじです。なぜなら、人がつくるものは何かしらの形で人の役に立つべくつくられるものであるはずですから。

されば地と隔たる器はなく、人を離るる器はない。それも吾々に役立とうとてこの世に生まれた品々である。それ故用途を離れては、器の生命は失せる。また用に堪え得ずば、その意味はないであろう。そこには忠順な現世への奉仕がある。奉仕の心なき器は、器と呼ばるべきではない。
柳宗悦『工藝の道』

「地と隔たる器はなく、人を離るる器はない」。用途を離れて、生命が失せるのは器だけではないでしょう。あらゆるデザインされたものが、人を離れ用途を離れては、その生命を保つことはできないはずです。

そんな魂のないもののデザインをしていないでしょうか?

 

関連エントリー

2008年10月27日

ユーザー中心のWebサイト設計・ワークショップ2日目

昨日の土曜日は、先週に引き続き、ユーザー中心のWebサイト設計・ワークショップの2日目の講師をしてきました(前回の模様は「ユーザー中心のWebサイト設計・ワークショップ1日目」を参照)。

前回は、インタープリテーション・セッションによるワークモデル分析~KJ法でのデータ統合~ペルソナ作成までの作業を実際にやってもらいました。今回はその続き(まさに、ペルソナ作って、それからどうするの?)で、実際にペルソナがどうWebサイトを利用するのかというインタラクションを行動シナリオに書いて、画面フローを考え、最終的にペーパープロトタイプをつくるという一連の作業をやってもらいました。



具体的には、以下のようなスケジュールで実施。

 10:00 講義、アクティングアウトのビデオ上映
 10:30 シナリオおよび画面フロー図の作成
 12:00 昼食
 13:00 ペーパープロトタイプの作成
 14:50 休憩
 15:00 成果発表(各チーム15分ずつ)
 15:30 リフレクション・全体のまとめ
 16:00 終了・解散

講義は、前回のおさらいと、今回の作業範囲であるシナリオ作成の注意点、シナリオを元にどう画面フローや画面構成を考え、ペーパープロトタイプに落としていくかというところを軽くお話した程度。あとは最後にペーパープロトタイプを使って行うアクティングアウト(オズの魔法使い)形式でのプレゼンの仕方を、事前に撮影しておいたビデオを使って紹介しました。

シナリオおよび画面フロー図の作成

前回の終わりに、

  • 作成したペルソナを表現する写真を探してくること
  • ペルソナの行動シナリオを1シーン分考えてくること

の2つを、参加者それぞれの宿題として出しておきました。

そこで今回の作業のまず1つめは、各自が探してきた写真から各チームで1つペルソナに採用するものを選ぶことでした。



片方のチームは、前回手書きで作成したペルソナを、自分でデータに起こし、しかも、自分で探した写真をはりつけてペルソナ基本文書をつくってきた人もいました。そうやってきちんとした写真付きのドキュメントにすると、よりペルソナが実在する人物に見えてくるから不思議です。

そのあと、今度は各自が考えてきたシナリオを元に、チームで1つのシナリオにまとめる作業に入ります。
おなじペルソナがおなじ目的を達成するプロセスを描いたシナリオでも、ひとりひとり描いてきたものは違うので、それをまとめるのは大変そうでした。それでも、こんな風にシナリオを描くのと、そのプロセスをフロー図で描く作業を役割分担して行うと、わりかし作業はスムーズで議論も活発になっていたようです。デザインというとどうしてもひとりひとりが個別に作業をするイメージがあると思いますが、実はグループ作業を行う利点はこういうところにちゃんとあるんですね。



このシナリオの段階で、具体的にユーザーが行う行動・Webの操作の様子を描いていないと、そのあと、画面遷移図や画面にどんな情報要素が必要かということを考えられません。



実際にはシナリオを書いていく作業と画面遷移・画面に掲載する情報要素を考える作業は、並行して行うと、ユーザーがどのように画面をみてどう感じるかということと画面に何が必要なのかが具体的に見えてきます。

昨日の作業でもそうしてもらいましたが、これがうまくいくかどうかは、前回までのワークモデル分析~データ統合の段階で、どれだけ実際のユーザーの行動を詳細に把握できていたかによるんですね。ちゃんと分析ができていれば、ペルソナ行動シナリオや画面遷移図を考える際にも、発想のヒントがそこから得られるんです。
実際のユーザーの行動を詳細に把握しておくことで、それ自体がデザインのアイデアを発想するヒントになる。参加してくれた方のリフレクションを聞くと実際それを実感していただけて良かったなと思いましたが、それこそがユーザー中心のデザインの一番の利点です。

ペーパープロトタイプの作成

シナリオを描き、ある程度の画面遷移図とそれぞれの画面に必要な情報要素の洗い出しができていれば、ペーパープロトタイプをつくっていく作業はそれほどむずかしいものではありません。

予定では、午前中のうちにそこまで終わっているはずでしたが、両チームとも、画面遷移図とそれぞれの画面に必要な情報要素の洗い出しの作業はすこし残っていた状態で、まずはその部分をしっかり整理することから作業をはじめたようです。



ただし、実際にやってみるとわかることですが、ペーパープロトタイプの作成作業をすることによってはじめて、この要素も必要だとか、この画面遷移だとうまくいかないということが見えてきたりもします。ラフに画面を描いてみるだけでも気づきがあります。



「つくりながら考える」ことで発見を得ることこそがプロトタイプをつくる目的です。だから、どんどん具体的な画面を描いてみて、それがシナリオ通り、ユーザーにとって価値あるものになっているか。なっていないのだとしたら、画面に問題があるのか、それとも元のシナリオに問題があるのかを検討する。そういう繰り返しで、だんだんと自分たちの考え、デザインがまとまっていく。今回はその作業をやってもらいながら発表用にデザインコンセプトを1枚まとめてもらいましたが、こういう作業を繰り返しているとコンセプトをまとめるのもそれほど苦にならないのではないかと思います。



成果発表

さて、両チームのペーパープロトタイプができたところで、それぞれがデザインしたWebを別のチームにプレゼンします。

プレゼンは先にも書いたとおり、作成したペーパープロトタイプを使ってのアクティングアウトで行いました。ひとりがシステム役になり、そのほかの人がペルソナを演じたり、ペルソナの家族を演じたりして、ユーザーがどう操作を行い、それに対してシステムがどうフィードバックをするのかをプレゼンテーションしてもらうのです。



さすがに時間がなく、アクティングアウトのための練習をする時間は両チームともなかったようですし、演じる恥ずかしさもあってか、外野からのつっこみもあったアクティングアウトでしたが、両チームともどんなものをデザインしたのかは伝えられていました。

片方のチームが企画・デザインした旅行サイトは僕自身、本当にあったら便利だなと思うものになっていました。2日間という短い時間でもここまでできるんだなと一番実感したのはそこですね。

ユーザー中心デザインの本当のメリット

こんな感じで、先週との2日間計10時間のワークショップで、ワークモデル分析~ペーパープロトタイプの作成まで、ユーザー中心デザインのプロセスでのコアとなる部分の作業は体験してもらえました。

参加者の方が言っていたことで記憶に残ったのは、

  • グループワークを行うことで、いろんな人のアイデアを聞きながら作業ができ、ひとりで作業していては思い浮かばないアイデアが出てくるし、アイデアが偏らずに済む
  • ワークモデル分析やKJ法によるデータ統合がデザインするのに何の役に立つのか1日目が終わった時点ではわからなかったが、実際にシナリオを書いて画面遷移を考えたりプロトタイプをつくるなかで、分析作業で得たものからアイデアが生まれるのだということが実感できた
  • 必ずしもペルソナが重要なのではなくて、実際のユーザーの行動を把握したり、それを元にシナリオを書くという過程がデザインの役に立つのだということが体験的にわかった
  • 本を読んだだけではわからなかったことが、実際にやってみて腑に落ちた

といったところ。

まさにそうなんですよね。こういう点がユーザー中心デザインのプロセスを使ってデザインする利点だと思います。別に、ユーザーのためだけに、こんなめんどくさいプロセスを採用するわけじゃないんです。
むしろ、デザインする側が、自分たちが何をデザインしているのかということを、ちゃんと実感しながら、しかも、それがきっとユーザーの役にも立つだろうと感じながらデザインできることにこそ、ユーザー中心デザインの一番のメリットがあると僕は思っています。



今回はじめて、こういうワークショップをやらせていただいて、主催者側としては運営面でいろいろ反省することがないわけではありません。でも、参加してくれた方から先のような言葉が聞けただけでも、伝えるべきことは伝えられたかなと思います。

参加してくださった方、お疲れ様でした。ぜひここで体験したことを普段のお仕事でも役立ててくださいね。
それから、前回同様、手伝ってくれた矢野さん、そして、この機会をくださった林さん、ありがとうございました。

さて、いつということは決まっていませんが、このワークショップのシリーズは今後も続けていく予定です。次回の予定が決まりましたら、またここでも告知しようと思います。興味のある方はお楽しみに。

→ ユーザー中心のWebサイト設計・ワークショップ1日目



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2008年10月26日

携帯用の告知ページのHTMLとCSSを公開しておきます。

インクルーシブデザインワークショップの告知ページの携帯用HTMLとCSSを書いたので、せっかくだから公開しておきます。

モバツイにインクルWSの広告出してるよ!

先日から宣伝しているインクルーシブデザインワークショップ with Re:Creator's Kansaiですが、先週あたりから携帯電話でもそれなりのデザインで閲覧できるように対応させました。

理由はワークショップそのもののテーマが携帯電話ということもありますし、またモバツイ無料で広告を出させてもらえると知り、f-shinさんにお願いすると快く承諾をいただいたので、せっかくならPCサイトを携帯で見てもらうのではなく、携帯用のページを用意しようかと思った次第。

せっかくだからコードを共有

コーポレートサイトそのものを携帯対応にしてほしいという案件は少なくとも僕の周り(NPO法人や公益法人等)では聞かないのですが、河野武さんのスライド「モバイル・サイトの重要性」などを読んでいると、携帯対応はWebサービスでは当たり前、コーポレートサイトもそろそろか、という印象を受けました。

携帯の現状のレンダリングを踏まえた上でどういったコードがベストなのかについては、僕自身はまだまだ勉強中です。しかし、勉強しようにもPCのWebサイトと違い、携帯のHTMLやCSSはなかなかのぞき見ることができません。というわけで、ベストプラックティスとはほぼ遠いですが、こんなHTMLとCSSを書くと、携帯電話ではこんな表示になるよという意味で下記のコードを確認してもらえればと思います。一応、3Gと呼ばれる機種のみをサポートするイメージで作りました。たぶん。

ついでなので、QRコードも生成してみました

f:id:aratako0:20081026163723j:image

以下はメモなのですが、

  • 1つのコーポレートサイトを携帯向けにフルスクラッチで作成するのは時間も手間もかかりますが、1ページ、もしくは少ないページ数の告知ページなら練習がてらにはちょうどよいかな、と。無論、将来的には1枚のHTMLをCSSだけでPCと携帯と切り替えられるのが理想。
  • 凝った作りにするのであれば、サーバサイドや.htaccessでキャリア別にテンプレを振り分けるべきなのでしょうが、今回はhttp://www.re-creators.jp/inclusive/200811/への携帯からのアクセスをhttp://www.re-creators.jp/inclusive/200811/mobile/に飛ばすだけにしています。
  • 一応、DoCoMo、au、SoftBankの実機にて確認済み。
  • 前述のワークショップでは、この携帯用の告知ページを事前に視覚障害者の方にテストしてもらい、その結果も公表する予定(当日の会場のデジハリ大阪校は携帯の電波が届かないので)

参考サイト

そのうちのいくつかをメモしておきます。

コード

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Transitional//EN" "http://www.w3.org/TR/xhtml1/DTD/xhtml1-transitional.dtd">
<html lang="ja" xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml" xml:lang="ja">
<head>
<meta content="application/xhtml+xml; charset=UTF-8" http-equiv="Content-Type" />
<meta content="text/css" http-equiv="Content-Style-Type" />
<meta content="text/javascript" http-equiv="Content-script-Type" />
<meta http-equiv="pragma" content="no-cache" />
<meta http-equiv="cache-control" content="no-cache" />
<meta http-equiv="expires" content="0" />
<meta name="robots" content="index,follow" />
<meta content="障害者や高齢者の生の声を取り入れながら携帯電話のプロトタイピング" name="description" />
<meta content="インクルーシブ,デザイン,ワークショップ" name="keywords" />
<title>インクルーシブデザインワークショップ with Re:Creator's Kansai</title>
<link rel="alternate" media="handheld" href="http://www.re-creators.jp/inclusive/200811/mobile/" />
<style type="text/css">
	<![CDATA[
		a:link{color: #164964;}
		a:focus{color: #06A7CE;}
		a:visited{color: #295899;}
	]]>
</style>
</head>
<body>
<div color="#333333" style="font-size: xx-small;">
	
<div style="margin: 10px 0 0 0;">
<div style="text-align: center;" align="center">
<img src="logo.gif" alt="インクルーシブデザインワークショップ with Re:Creator's Kansai" width="178" height="58" />
</div>
<div color="#777777" style="margin: 10px 0 0 5px; font-color: #777777;">障害者や高齢者の生の声を取り入れながら携帯電話のプロトタイピング</div>
</div>

<hr size="1" color="#EEEEEE" style="border-color: #EEEEEE;" />

<div style="margin: 0 5px 0 5px">

<div style="margin: 10px 0 5px 0;">
<span color="#74AF0A" style="font-size: small;"><font color="#74AF0A">■ コンセプト</font></span><br /><br  />
Webサイトを制作する上でユーザビリティやアクセシビリティが大事だというのは分かる。<br  /><br />
けれど、本当に障害者や高齢者のためになっているんだろうか。<br /><br />
Webデザイナーやコーダー、ディレクターの皆さんはそんなことを一度は考えたことがあると思います。<br  /><br />
それを解決するにはどうすればよいのか。本人に聞くのが一番確実で手っ取り早いですよね。<br /><br />
<strong>インクルーシブデザインワークショップ</strong>は、そんな僕たちがちょっとした新しい視点を得られる場なのです。
</div>

<hr size="1" color="#EEEEEE" style="border-color: #EEEEEE;" />

<div style="margin: 10px 0 5px 0;">
<span color="#0B90BF" style="font-size: small;"><font color="#0B90BF">■ ワークショップ</font></span><br  /><br  />
インクルーシブデザインワークショップは、6名から7名を1グループとしたワークショップ形式で行います。<br  /><br />
そのうちの1名には必ずリードユーザと呼ばれる障害者や高齢者の方に入ってもらいます。<br /><br />
今回のテーマは<strong>「携帯電話」</strong>です。<br /><br />
リードユーザが普段どのように携帯電話を使い、どんなところが好きで、一方何に不満を感じているのかをヒアリングし、携帯電話のプロトタイプを制作します。<br /><br />
1. リードユーザの携帯電話に対する意見をヒアリングします。<br />
2. その意見をどんどんリストアップし、イメージを膨らませます。<br />
3. プロトタイプを制作します。<br />
4. グループごとにみんなの前で発表します。
</div>

<hr size="1" color="#EEEEEE" style="border-color: #EEEEEE;" />

<div style="margin: 10px 0 5px 0;">
<span color="#E28915"><font color="#E28915">開催概要</font></span><br  /><br  />
日時<br  />
└2008年11月19日水曜日<br />
 18時30分から21時<br />
場所<br  /><a href="http://dhw.weblogs.jp/_osaka/guide/guide.html">デジタルハリウッド大阪校</a><br />
定員<br  />
└20名前後<br />
参加費<br />
└2,000円<br />
 (領収書発行します)<br />
準備物<br />
└携帯電話
</div>

<hr size="1" color="#EEEEEE" style="border-color: #EEEEEE;" />

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2008年10月25日

接続詞のない世界

情報考学」の「文章は接続詞で決まる」というエントリーを読んでいて、これを思い出しました。

我々が文章のあたりまえのつなぎ方だと思っている「接続」表現を、列挙の方法は用いない

田中優子さんは「日本には古代末期から様々な列挙の方法が」あり、「それは近世に至るまで、まさにそれぞれの時代特有の機能をもった」ことを述べ、さらに列挙の方法は、時代や、表現ジャンル、表現内容によってさまざまな形式をとったため、ひとくくりにしては言えないがということを前置きした上で、列挙の方法の大きな共通点のひとつとして、上の引用にある列挙という方法の特徴をあげています。

接続詞がつくる関係性

文章は接続詞で決まる」というエントリーではこんなことが書かれています。

接続詞の一般的な定義は「接続詞とは、文頭にあって、直前の文と、接続詞を含む文を論理的につなぐ表現である」というほどのものだが、本書では「接続詞とは、独立した先行文脈の内容を受けなおし、後続文脈の展開の方向性を示す表現である」と再定義している。接続詞は必ずしも論理的ではないということでもある。

一方で、田中優子さんの本では「接続詞や接続のための表現は、事柄と事柄を関係づけて論理を構築する」という記述があって、一般的な定義に近い。
また、田中さんは、

これを用いれば相互の言葉の間に、理由、原因、結果、所有、逆説、累加などの関係を表現できるし、複雑な論理関係も表現することができる。

とも書いています。
接続表現は、前の文Aと後ろの文Bに固定した関係をつくる。一見無関係そうに思えるものでも、接続表現を用いることで関係を固定することができる。まさにそれ自体、ひとつの編集作業です。

これは必ずしも話し手、書き手がそうした論理関係を意識して表現しているということを意味しないでしょう。
むしろ、話し手、書き手が意識して使わなくても接続詞や接続表現を使った表現は、聞き手、読み手に前後の文をそういう論理関係において理解させてしまうということだと思います。接続表現を使ったとたん、前後の文は特定の関係のなかに捕えられてしまうのです。

接続詞のない世界

このことがあるから田中さんは次のように続けるのでしょう。

しかしこれを逆から見れば、接続詞の文章では、論理的関係がはっきりしないものしか表現できないことになる。

接続詞を用いれば、前後の文の論理関係がひとつに決まり、伝達効率は高まりますが、それは逆から見れば、論理によって結ばれた関係以外が表現できたはずの意味生成の可能性をことごとく捨象してしまっているということにもなります。

だからといって、僕らはもはや接続詞を使わずに話すことも書くことも考えることもむずかしい。田中優子さんの本で引用される平賀源内の文章のように接続表現を使わずひたすら物事を列挙していくような芸当はできません。

接続関係のはっきりした言語表現からみると、関係を限定しない関係の表現ーたとえば列挙表現-は機械の遊びと同じような意味での「意味の遊び」が大きく、極めて不安定にみえる。伝達効率も悪い。にもかかわらず、「取り合わせ」や「間」や「連なり」が意味を形成していくという、論理関係とは異質な意味生成の可能性が、ここにはあった。

僕らが、接続詞のない世界を想像するのはそうたやすいことではありません。

 

関連エントリー

2008年10月25日

バナナ・リパブリックはTシャツのブランドではなかった

昔、バナナ・リパブリックのTシャツばかりを着ていた。
NY帰りの知人からもらったそのTシャツはめちゃくちゃクールだった。

そして、09春夏コレクションが発表されると聞き、春夏物のTシャツを思い描いたが・・・。
Tシャツのモデルはいなかった。

わたしの知っていたバナナ・リパブリックはどこへ??????????`?i?????????j

関連サイト
バナナ・リパブリック - Wikipedia
Banana Republic Japan - バナナ・リパブリック 日本公式ウェブサイト