24日に品川シーサイドに移転したばかりの楽天本社ビル(楽天タワー)にてエンジニア向けのイベント、「楽天テクノロジーカンファレンス2007」が開催された。
楽天は自社開発をしていることへの認知が低い、またテクノロジーよりはビジネスのイメージが強いと認識されている方は多いはず。しかしながら、楽天株式会社が十周年およびオープンオフィスのタイミングにて、楽天のテクノロジーへの取り組みを知ってもらうことをメインとしながら、楽天のサービスを題材に、インターネット・テクノロジーの展望を語る意見交換の場として開催されたそうだ。「楽天テクノロジーカンファレンス2007」では、楽天のテクノロジー現状と今後の展望、またインターネット世界の未来のビジョンと企業やエンジニアが担うべき役割について、外部講師の方々も含め行われた。以下が僕が参加した基調講演とその一部メモ。
- Eco Innovation - Sun Microsystems株式会社代表取締役社長 末次朝彦氏
キーワードは"Open Opportunities(与えられた機会)"。開発者、技術者などサービスを提供する方々が参加しやすい環境を提供してきている。ネットワーク利用者は60億人分のわずか15億人と言われているが、エネルギー大量消費に繋がっていることは事実。情報格差(デジタルデバイド)を解消するために、エネルギー省費のためのソリューションを今後提供していく。それがやがてインターネットのプラットフォームになり、楽天のようにその上でイノベーションを行って欲しい。
地域の店舗さんも元気にしたいという地方指向と技術指向を備えている楽天と、まつもとゆきひろ氏自身が開発したオブジェクトスクリプト言語「Ruby(ルビー)」の相性がいい。API(Application Program Interface;アプリケーション・プログラム・インターフェイス)を提供し、人的リソース溢れる楽天と互いに日本発の存在としてグローバル展開を目標としている。現在はメモリーストレージャーデスクの効率化・高速化を目標としたスケーラビリティの研究を実践中。これからは世界への情報発信、そして日本発の技術として世界に貢献していってもらいたいとのこと。
- 楽天技術研究所と未来ビジョン「サードリアリティ」 - 楽天株式会社 楽天技術研究所代表 森正弥氏
コンセプトは"More than Web(より豊かなリアリティーを)"。今後のインターネット界で課題となってくるのが、現実とネットの融合をどのような形で行っていくのか、世界観や価値観といったリアリティーをどう体験させるのか、経験させるのか、である。ネット上では「twitter(ツイッター)」や「ケータイ小説」のように断片化されたコミュニケーションと、マッシュアップ(再構成)によるコミュニケーションが同時に進化している。更にそれを見えないレベルでコンテキストを共有することができ、協力しあう関係、環境が創造され、より豊かなリアリティーを生んでいる。
- Launch Pad - INNOVATION OF SEARCH
高い柔軟性と拡張性を持つ「エンタープライズ・サーチ・プラットフォーム (FAST ESP)」を提供し、すでにワールドワイドで3600社以上の顧客を抱え、多くの先進的な導入実績を持っているファストサーチ&トランスファ株式会社との合併会社で、モバイル向け検索サービスと関連する広告サービスを提供する「楽天・ファスト・モバイルサーチ株式会社」による講演。既にモバイル版のインフォシークに適応している本サービスの特徴はサービスに合わせたカスタマイズの柔軟性や動的にナビゲーションによるユーザビリティの向上だ。だがまだまだ検索アルゴリズムが適さない環境であり、ケータイ端末の操作性の不慣れという現状がある。そのためにモバイルに特化したアルゴリズムを確立させると共に、楽天ユーザーの行動・購買履歴情報が蓄積されている楽天スーバーデータバンクを元にした効率的なナビゲーション、パーソナリゼーション、そしてレコメンデーション< /span>という検索+αの導入により検索をより完成度の高いものへと仕上げていく予定だという。
- 「これからの10年、これからのテクノロジー〜エンジニアに求められるもの」
楽天株式会社代表取締役社長兼会長 三木谷浩史氏 × 楽天技術研究所フェロー まつもとゆきひろ氏 × Adobe Systems株式会社代表取締役社長 ギャレット・イルグ氏
これからの楽天はどれだけユーザーをターゲティングしていくか、それも楽天スーパーデータバンクによる行動ターゲティングに力を入れていくそうだ。楽天のウェブAPIを提供するなど、すでにオープン化を心掛けており、更なる楽天経済圏の拡大を目標としている。自社開発のレコメンデーション・エンジンの開発や行動ターゲティング広告の技術開発を進めている。
エンジニアは、テクノロジーのみを見据えるのではなく、企業全体としての戦略も視野にいれなければならない。そのためには戦略に影響を与える個々の想像力が必要不可欠になってくる。消費者はユーザー・インターフェイスを越えたものを求めており、それはエモーショナル(感情)や先程述べたリアリティーの体験や経験である。どのようなリッチなユーザー・エクスピリエンスを実現することができるかがエンジニアに期待されている。
イメージやコンセプトを提案するデザイナーとデータベース及びフレームワークの構築を手掛けるエンジニアはこれまで相互作用によって仕事を進めてきたが、それではズレが生じサービスの満足度を最大化できずにいる。今ではデザイナーがエンジニアの作業に携わったり、エンジニアがデザイン・プロセスに携わる機会が多くなってきている。デザイナーとエンジニアのコラボレーションの実現がコンピューターのイノベーションによって影響され、役割の隔たりがなくなってきている。
楽天のみならずAmazon(アマゾン)、Google、はてなも自社のAPIを公開しているが、構築されたフレームワークをオープンにすることによってデザイナーやエンジニアのみならず消費者にも社会に参加できるチャンスを与えることが出来る。まだまだ初期段階ではあるが、技術改革によりテクノロジーは更に使いやすくなるはずだ。チャレンジングで、競争化社会が生まれることで人々にリッチな体験を与えることができ、想像力豊かな社会が創造されていく。「インターネットが社会を変えていく」と公演中に何度も言及していた三木谷社長。"オープン・ソサエティ(解放された社会)"、または僕がこのブログでも定義している"ユニバーサル社会(隔たりがない社会)"によって一人一人が生き生きすることができる。楽天が掲げるキーワードに"EMPOWERMENT(エンパワーメント;元気づける)"があるが、正にこの事である。
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