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2007年07月29日

同意書を得ずに患者48人に抗がん剤の臨床試験を実施

神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)の外科医長ら医師2人が、乳がん患者48人に対し、同意書を得ずに、通常とは異なる方法で抗がん剤を使う臨床試験を行っていたことが分かった。
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同意書を得ずに患者48人に抗がん剤の臨床試験を実施


外科医長はこう言っている。
「文書での説明は時間がかかるので省略した。」

「時間」がそんなに大切なのだろうか。
いや、患者の「人権」と「時間」を比べること自体がおかしい。
言語道断だ。


ここでは、「医者」と「患者」という関係に注目して考えるべきなのだろう。
こういう医者は自分を患者より上に見ているのではないだろうか。
もし、この医師の奥さんに同様なことが起こったら、どうしているだろう?

あるいは、「臨床試験」を甘く見ているのかもしれない。
既に承認・販売されている医薬品の使い方の検討ぐらいなら、同意を取るまでもない、とか思っているのだろうか。


こういう適性のない医師には臨床試験をやらせないのが一番いいのだが、それを事前に見極めるのは極めて難しい。

その見極めるという行為を行う審査部門がまず無い。

本来ならば、IRBがその大切な「臨床試験を行うに適した医師かどうか」を見極める責任を負うべきなのだろうが、果たして、そんなことが現実問題としてできるのだろうか。

最低限、考えられることは、臨床試験が始まったら、常にモニタリングすることだ。

たとえば、患者さんの同意書の写しを必ず、IRBへ提出し、それが無い限り、薬の投与はできないとか。
さらに薬剤部にも同意書の写しを提出しないと薬を払い出せないとか。
また、臨床試験が始まったら、計画書どおりに行われているかどうかの確認をする、ことなど等。


残念ながら、治験や臨床試験では「性悪説」で考え、行動しないといけない。
臨床試験や治験ではやはり、監視機能を持った組織、その役割を担うひとが必要なのだ。

治験で言うならば、それはモニターであり、監査である。(もちろん、IRBもそうなのだが、実際のことを考えると、あまり期待できそうにない。)


だから、そんな仕事(モニターや監査)をやってみたい方は、是非、製薬会社やCROの臨床開発部門を志望して欲しい。

あなたがいないと、日本では、安全に臨床試験も治験もできないのだ。


なお、今回の事件で思い出した本があるので紹介する。


『人体実験』と患者の人格権

金沢大付属病院の元患者遺族が、抗癌剤の比較臨床試験を無断で行なわれたとして国を訴えていた訴訟で、金沢地裁は、「臨床試験に対するインフォームド・コンセント」の必要性を認める画期的な判決を下した。

同病院の産婦人科医師の「内部告発」を手がかりにしながら、この事件の背後にある、医学研究と患者の「人格権」をめぐる問題の諸層を明らかにしていく。


『人体実験』と患者の人格権




『人体実験』と患者の人格権―金沢大学付属病院無断臨床試験訴訟をめぐって



『人体実験』と法

金沢大学附属病院に入院していた卵巣癌の患者に対する抗癌剤の無断臨床試験をめぐる訴訟で、名古屋高裁金沢支部は、「他事目的」説明義務を果たしていなかったとして大学側に損害賠償を命じた。

大学の調査委員会も、この患者を含む二十四人の元患者に対して、正式のインフォームド・コンセントなしに臨床試験が行われたことは認めた。

にもかかわらず、臨床試験の責任者の産婦人科教授は厳重注意を受けるにとどまり、大学は責任の所在を曖昧にしたまま事件を幕引にしようとしているように見える。

病院であると同時に研究機関でもある「大学病院」という特殊な環境における「医師と患者」関係に内在する根本的な問題を、総合法的な視点から分析する。

2003年刊「「人体実験」と患者の人格権」に続く、その後の裁判の経過を記す。

この本と上の「『人体実験』と患者の人格権」を併せ読んで、ケーススタディの題材とし、治験や臨床試験における創薬ボランティアの人権の保護を新人モニターやCRCは言うに及ばず、各層の関係者で行うことも有意義だろう。


『人体実験』と法




『人体実験』と法―金沢大学附属病院無断臨床試験訴訟をめぐって





IRBハンドブック(臨床試験の倫理性確保,被験者保護のために)

本書は米国の倫理規定に基づきIRBの運営の基本理念と具体的なノウハウを解説するハンドブックである。

日本のIRBの皆様も頑張って頂いているのは、よく分かっている。
でも、まだIRBに慣れていない、治験初心者のIRBもあることも間違いない。

本書「IRBハンドブック」は具体的にIRBでは何を審議すればいいのかのヒントが載っている。

もちろん、これだけで、IRBの責務を全て果たせるかとういと、そんなことはないのだが、まずは、ここからだろう。


【内容】

1 IRBの基礎知識(このハンドブックの目的/IRBの任務 ほか)

2 フル・メンバーによる正式のIRB会議(IRB会議の前の準備/新規のプロトコール審査 ほか)

3 具体的なトピックス(研究のデザインと質を評価する/研究者の利益相反 ほか)

4 補足情報・レファレンス(倫理規範/アメリカ合衆国政府規制 ほか)

付録 日本国内規制・国際情報・補足情報(人対象研究:関連法令/治験:省令・関連通知等 ほか)


IRBハンドブック




IRBハンドブック―臨床試験の倫理性確保、被験者保護のために





医薬品ができるまで  / ホーライ製薬 /治験、臨床試験の情報サイト /治験推進センター /科学専門書店
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2007年07月28日

同意書なしで臨床試験実施

このご時世で驚きのニュースが飛び込んできた。神戸の病院で文書同意を取得せずに臨床試験をしてしまったとのこと。どこの製薬会社の何の治験だろう?って思ってしまったのだが、この臨床試験は治験ではないようだ。ちょっと横道に逸れますがここで用語の説明を。 ■臨床試験…人を対象として有効性・安全性について調べる試験。 ■治験…厚生労働大臣から医薬品としての承認を受けるために行う臨床試験のこと。解りやすい絵を見つけたので紹介します。 引用先:医薬品・バイオ研究の実用化に向けて〜知っておきたい薬事規制〜平成18...