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「同意書を得ずに患者48人に抗がん剤の臨床試験を実施」
外科医長はこう言っている。
「文書での説明は時間がかかるので省略した。」
「時間」がそんなに大切なのだろうか。
いや、患者の「人権」と「時間」を比べること自体がおかしい。
言語道断だ。
ここでは、「医者」と「患者」という関係に注目して考えるべきなのだろう。
こういう医者は自分を患者より上に見ているのではないだろうか。
もし、この医師の奥さんに同様なことが起こったら、どうしているだろう?
あるいは、「臨床試験」を甘く見ているのかもしれない。
既に承認・販売されている医薬品の使い方の検討ぐらいなら、同意を取るまでもない、とか思っているのだろうか。
こういう適性のない医師には臨床試験をやらせないのが一番いいのだが、それを事前に見極めるのは極めて難しい。
その見極めるという行為を行う審査部門がまず無い。
本来ならば、IRBがその大切な「臨床試験を行うに適した医師かどうか」を見極める責任を負うべきなのだろうが、果たして、そんなことが現実問題としてできるのだろうか。
最低限、考えられることは、臨床試験が始まったら、常にモニタリングすることだ。
たとえば、患者さんの同意書の写しを必ず、IRBへ提出し、それが無い限り、薬の投与はできないとか。
さらに薬剤部にも同意書の写しを提出しないと薬を払い出せないとか。
また、臨床試験が始まったら、計画書どおりに行われているかどうかの確認をする、ことなど等。
残念ながら、治験や臨床試験では「性悪説」で考え、行動しないといけない。
臨床試験や治験ではやはり、監視機能を持った組織、その役割を担うひとが必要なのだ。
治験で言うならば、それはモニターであり、監査である。(もちろん、IRBもそうなのだが、実際のことを考えると、あまり期待できそうにない。)
だから、そんな仕事(モニターや監査)をやってみたい方は、是非、製薬会社やCROの臨床開発部門を志望して欲しい。
あなたがいないと、日本では、安全に臨床試験も治験もできないのだ。
なお、今回の事件で思い出した本があるので紹介する。
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●『人体実験』と患者の人格権 |
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