先日、A&People の設立間もない頃から大変お世話になっているお客様とその部下の方(といっても3,000人もの部下を持つ本部長さんですが)と3名で恵比寿にあるとても素敵な隠れ家的なお店をおしえていただき、そちらでお食事をご一緒させていただきました。
実は、そのお客様というのが大変ゴルフのお上手な方で、プロ並みの腕前です。
私がまだゴルフを始めて間もない頃からゴルフのご指導をいただき、ある意味、私のゴルフの師匠ともいえる方です。
その方とお食事をするときは、殆どお仕事の話は出てこず、9割以上がゴルフの話題で終始占められます。

話の最中に、私が『ゴルフは歳とっても出来るからいいですよね。私は老後は仲良く夫婦でゴルフを楽しみながら過ごせたらいいなと思っているんです』というと、その方が「だめだめ、夫婦でゴルフなんかやったって、喧嘩になるだけだよ。うちも、嫁さんに教えたけど、喧嘩になるからもうやめた。」すかさず、もう一方も「そうそう、みんなはじめは夫婦で仲良くゴルフをしたいなんて思って奥さんに教えるんだけど、だいたい喧嘩して『もうやめた』ってケースが殆どだよね。練習場でよく喧嘩してる夫婦がいるけど、みんなああいう経験があるから、同情しちゃうよね。はははははぁ。。」とのこと。
私は、『そんなものなのかな?うちの場合はそんなことないよね。。。』と、疑心暗鬼でその話題を終えました。

そして、先週末。何の気なしに時間をもてあましていたので、子供も昼寝をしてくれているし、義母に子供をまかせて主人を誘って二人で近所のゴルフの練習場へ行きました。

主人はゴルフは初心者ですが最近集中レッスンを受けてけっこう自信もつけており、「早く二人でコースに出たいね。僕がうまいのにびっくりしないでね!」なんて、挑発的なことを言ってやる気満々です。
私が着替えをしている最中に、主人はせっせと私のキャディーバックまで車に積み込んで準備万端です。(『なんかやさしいなー』と、ちょっと感動)
そして、練習場の駐車場について建物までの道すがらも重たい私のキャディーバックと自分のバックを2つ、せっせと抱えて足早に入っていきます。(さらに『やさしーじゃん!』と感激。)
ちょうど昼時ということもあり、練習場は待たずにすぐに隣り合わせの打席が確保でき、互いにストレッチをして練習を開始しました。
彼が、私の後ろ側の打席を先に選んだので、私もそれに従い彼の前になる位置で夫々に練習を始めました。

私は、一人のときでも誰と一緒でも運動をするときはストイックに黙々と取り組むのが常です。その日も、自分のペースでこつこつ練習をしていました。
なぜかその日は、絶好調でどの番手のクラブで打っても真芯に当たり、気持ちのよいほどスコーン、スコーンといい音とともに同じ方向に勢いよく飛んでいきました。
『私ってうまいじゃん!』なんて心でつぶやきながら、後方からの”ずどん”、”ぶすん”という変な音がしているのは気付いていましたが、気にせず自分の練習に打ち込みました。

一時間ほど練習した頃に後ろを向き『私は、そろそろパターの練習に屋上へ行こうと思うけど、どうする? もしあなたがもっとここで続けたいなら、あとから屋上へきたら?』と話しかけると、間髪いれずに「あなたは本当に自分勝手だからね。あなたみたいな人は今まで見たことない。何で僕はこんな人と結婚したんだか分からない。」といって首を何度も傾げています。

私は『えっ?どうしたの?なんか悪いことしたっけ?』と、自分に問い詰めてみても思い当たる節がありません。『もしかして、もっと練習したいのかな?私に見てて欲しいのかな?』などあれこれ思案し、『じゃ、もう少し待ってあげようか』と、ベンチに腰掛て彼の練習を見ていると、一打目が空振り。 思わず私は見て見ぬふりをして靴の紐を締めなおすふり。次に2打目は“ゴスン“というものすごい音で床をクラブヘッドが直撃。彼は手の震動と激痛に手を振っていて、玉は、彼をなめているように、ちょろちょろと前へ転がっています。
「あなたのせいで、気が散ってまったくうまくいかない。」と彼。
私は自分も昔はそんな次期もあったので、気持ちは充分理解できるし、みんなそうした時期を通って上達するのだから、別にそうした様子を見てもなんとも思わないですし、人のせいにしたくなる気持ちも理解できましたので黙っていました。

彼の気持ちを楽にする意味で、「早くコースに出たいっていってたけど、なかなかゴルフは奥が深くて、難しいよね。。。」と彼に優しく言ったつもりが、烈火のごとく「私は二度とあなたとゴルフはしません。練習もこれが最後だからね。」と、落ち着かせるどころか、火に油を注いでしまいました。もう何を言ってもだめだと思い「私はパターの練習に行こうかな?」と蚊の鳴くような声でいうと、鬼のような顔でにらまれました。

そこで改めて、その前の週のお客様との食事会の会話を思い出し、『きゃぁー!このことだったんだ!』と仰天してしまいました。
パターの練習場でも『何でこんなお天気のいい日に、こうなっちゃうかなー!』と思いつつも、重たい空気の中で二人は無言で黙々とパッティングをしました。

練習場からの帰りは悲惨です。主人は自分のキャディーバックを担いで、一目散に駐車場に向かいます。『行きはよいよい帰りは怖いだな』なんて考えながら、私は仕方がないので自分のバックを担ぎ、とぼとぼあとを追いかけ車に積み込みました。

助手席に乗り込み、少し雰囲気を変えようと「ねぇー、いつコースに行こうか?早い方がいいよね!」と明るく話しかけると、主人は「私はね、これから財産はしっかり整理させてもらうから。僕がこれから儲けでも、あなたにはビタ一文渡しませんから、覚悟しておいてね!」なんて言い出す始末です。
私は、『へぇー!財産まで話が飛躍するわけ???』と、そこまで来ると、もう限界です。それまでこらえていたのが噴出して大笑いしてしまいました。
もう、涙が出るほど私が笑ってしまったので大変です。彼の怒りがピークに達し、もう手のつけようがありませんが、私はもう笑が止まらなくなってしまいました。

たかだか、ゴルフごとき、されどゴルフなんですね。
師匠の教えの通り、夫婦でゴルフの練習なんてするものではありませんね。
私の老後の夢はもろくもくだけちりました。

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