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2010年08月27日

『恋言心~こいごころ~』桜乃みか

  ケータイコミックの市場における35万ダウンロードが、実際どれぐらい価値のある数字なのか知らないのだったが、コミックスのオビにそう宣伝されている桜乃みかの『恋言心~こいごころ~』は、たとえばケータイ小説の「ケータイ」がジャンル的な修辞であったとしたとき、ちょうどそこに含まれるかのようなストーリーの、読み切りマンガを三つ収めている。要するに、たかだか恋愛程度のことに、わざわざ深刻な背景を用意し、...

2010年08月26日

鯨統一郎『白骨の語り部』

日本の推理小説。作家の六波羅一輝が編集者の北村みなみとともに自動筆記で事件を解決する。舞台は遠野、登場人物は大地主・昆家の当主松子、長女市子、次女有希子、三女千明、四女はるひ。婚約した有希子が殺され、さらに殺人が続く。謎解きのテーマの一つにオシラサマの信仰が入る。登場人物がいずれも美男美女あるいはいかにもな悪役、と、その描写だけでお腹いっぱいになってしまう。推理小説をあまり読み慣れない目にもわかり...

2010年08月13日

『花宵道中』第3巻 斉木久美子(原作・宮木あや子)

 誰かを深く想う、というのは時として地獄であろう。霧里は京都島原を追われ、江戸は吉原へと発つ。しかし彼女は知らないのだ。京都に残された弟の半次郎が、染め物師としての腕前から、その一際立った容貌から、やがて地獄の渦中に呑まれてしまうことを、知らない。宮木あや子の同名小説を斉木久美子がコミカライズした『花宵道中』も3巻であるが、おそらくは意図して安野モヨコふうになっていく絵柄を、いやまあたしかにキャ...

2010年08月08日

『ノースリーブ』松田青子

  『すばる』9月号掲載。松田青子の『ノースリーブ』は、若葉という主婦が、買い物の帰り、自分が住んでいるマンションの一階で、「うわっ、カギ落とした、待ってて、俺ちょっと戻って探してくる」と慌てて言い、出かけていった夫の陽一を待っているだけの短篇小説である。もちろん、その、だけ、のなかに、いかなる実感がつくられているかを見られたいのであって、たとえばさっき買ってきたばかりのリステリンを袋から出し、...

2010年08月06日

堀辰雄『菜穂子・楡の家』

堀辰雄『菜穂子・楡の家』楡の家 ; 菜穂子 ; ふるさとびと菜穂子の母と作家の森を描いた楡の家、結婚した後の菜穂子と夫と義母と都築明を配する菜穂子、O村のおようと初枝を描いたふるさとびと。詩情あふれる静かな語り。三島由紀夫の評論で菜穂子が駄作とやりこめられていたが、美しい。...

2010年08月03日

石田節子『石田節子のきものでおでかけ』

アンティーク着物屋で働き、スタイリストとして独立した後に店を構えている著者の着物エッセイ。小柄・童顔で紬を仕事着として着用しているため1955年生まれと若いにもかかわらず着こなしが素敵。着付や帯結びの写真図解、豊富な写真、着物にまつわる小説・映画、よく行くお店など、実に盛りだくさんな内容。...