東京は今桜が満開だ。もっと南の地方だって、東国原知事の南国宮崎だって、ご近所の早春花のスポット千葉だって満開じゃないのにだ。夜桜を観に先週の水曜日に近所の緑道公園を歩いた時には、桜祭りのピンクの提灯が煌々と暗闇に揺れているばかりで、肝心の桜はまだ3分咲きが良いところだったのに2年連続全国トップだ。そんなに急激に温かくなったように体感はしていないんだが、桜にとっては積算温度が一気にメーターを振り切ったと言うことなのか?。確かに土曜日は良い天気で暖かかった。でも僕は一歩も外に出なかった。昨日だって夜に米を買いに出た以外は室内にこもってた。少し前に買ってきて組み立てておいた、雑誌の付録をいじくっていたのだ。「大人の科学 Vol17」テルミンの特集号に付いていたテルミンミニを奏でていたのだ。う〜ん・・・個人的には奏でていたと言い切りたいのだが、やっぱりその表現には圧倒的に無理があるなぁ。もう10年以上前か、1993年製作の「テルミン」という映画のプロモーション番組で初めてその楽器の存在を知った。楽器名の由来は、この奇妙な形をした電子楽器(いわゆるシンセサイザーか)の元祖を開発したロシアの物理学者だったレフ・セルゲイヴィッチ・テルミン。まるで楽器には見えない、2本のアンテナが突き出たライティングデスクだ。音の出る装置がわからない。鍵盤も無けりゃ、つま弾く弦も、電子楽器的なつまみやスイッチ類すら見あたらない。まさか打楽器ではあるまいに、どうやって音を出すのかと見ていたら、演奏者は机の上の何もない空間に、やおらオーケストラの指揮者のような手つきで、手を伸ばした。常にヴィブラートがかかった、どことなく哀愁のあるヒューン・・ヒュイーンと言う長く尾を引く音がした。ハワイアンで使われるスチールギターの様に音は無段階にスライドするがハワイアンのように明るくはなく、落語で怪談をやる時の効果音、のこぎりをビューンと言う音色に似ているかも知れない。演奏者はその空間に目に見えないハープの弦でもあるかのように、指を曲げたり伸ばしたりしながら時に腕全体を小刻みに震わせて怪しげに不安定だが、切れ目無くスライドするメロディーを奏でてゆく。その時以来ずっと気になって、頭の角のどこかに引っかかっていたテルミンと言う楽器が、付録として特集された大人の科学の発売されたのは、昨年の秋頃だった。その時は早速本屋に走ったのだがどこも売り切れで、再入荷の目処が立たないと言われた。そんなに需要が高かったのか、購買層のリサーチがばっちりで数的にピッタリだったのかは知らないが、大人の科学のバックナンバーで、その号だけがなかなか補完されてこなかったのだ。それがつい先日、何気なく本屋で思い出して捜してみたら、何冊も平積みになっていて、もうその場で購入し、数週間前には、簡単なプラモデルみたいな物で、組み立ても終わっていた。動かすのは単3電池4本、音の出る仕組みは結構小難しくて、電子回路によって作り出した2つの高周波を合わせることにより耳で聞くことが可能な、波長の唸りのような音を発生させている空間を、アンテナの周囲に作って、その空間にかざす手をアンテナに近づけたり遠ざけたりすることによって、手とアンテナとの電子の移動量の変化が音階になるらしいのだ。(間違っているかも知れないので、詳細はこの辺でちゃんとした解説をどうぞ)で、シンセであればいらないんだろうけど、このテルミンという楽器はチューニングが必要だ。その為の小さなつまみを細いドライバーのような調節棒で回して調子を合わすのだが、これが結構大変。電子楽器と言っても仕組みとか原理は電子だけど、オペレーションはチューニングも演奏も限りなくアナログチックな要素が満載で、コツとか勘とか経験と言ったような、熟練した職人技が要求されるのだでも逆にそこが楽しみでもある。僕なんかはまだドレミの音階もやっとなんとかで、童謡の「クラリネットをこわしちゃった」じゃないが、ファとシの音がうまく鳴らない。それでも、チューリップくらいはヨタヨタで鳴らすことが出来る。プロのテルミニストや名人達の演奏を聴いてみると、このおもちゃのテルミンでもちゃんとメロディーを奏でている。簡単な改造で音域を広げたり、音量の増幅も出来るような講座も載っている。だから結構面白く、結構ハマっている。簡単な童謡はそらでメロディーが出てくるんだけど、ちょっとした曲って思っていた程にはきちんとそらで覚えていないもんだということも判った。K子さんにはうるさいとあまり評判は良くないが、そのうち聞き惚れるくらいの演奏とを思いつつ今日もヒューヒューどろどろ今にもお化けが出てきそうな音ではある。
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