正月を過ぎたあたりから、ずっと期待していたはずなのに、今年のゴールデンウィークの前半戦もあっという間に過ぎようとしている。でも今日はいい天気、気温もぐんぐんとMAX25℃、風も穏やかで絶好のチャリング、ポタリング日和だ。河川敷のアスファルト道を、気持ちの良い追い風に背中を押されて、どんどん荒川を遡ってゆく。上を首都高中央環状線(C2)が走る、中州の高架下を軽快にペダルを漕いでゆく。やがて首都高は右に外れて行き、程なく右手に葛飾のハープ橋が見えてから、10分も走ると堀切だ。もう5月は目の前だし、5月と言えばこどもの日、鯉のぼり、菖蒲の花という連想ゲームの様な短絡的イメージで、やって来たのは堀切菖蒲園。開花ピークのシーズンには観光バスもやってくるほどの賑わいだが、流石に時期が早すぎらしい。まだ全然花が咲いていない、というか蕾すらほとんど付いていない状態だ。大して広くない園内もがら空きで、田んぼのように水を入れた湿地には菖蒲湯に入れるような、ただ緑の菖蒲の葉が植わっているばかり。目をチョット上に移すと、さして大きくはない棚だが藤の花が満開だ。練乳のようなうっすらと黄みがかった白色の花や、もちろん藤色の花も咲いている。棚の下の腰掛けで一息していると、ブブッ、ブンブンブブッンと大きな羽音が絶え間なく頭上でする。マルハナ蜂が藤の密集めに忙しそうだ。マルハナバチを見るのは随分と久しぶりだった。ミツバチの仲間で体型がずんぐりむっくりとしていて丸っこく、ミツバチなどに比べると大きいので、チョット怖い気もするが、虻やクマンバチなどと混同して、追い払うような動作や攻撃などをしなければおとなしい愛嬌のある蜂だ。一所に5秒とじっとしていない。足の付け根に花粉を沢山つけて、花に潜り込んでは蜜を吸っている。最近は茄子やトマトの受粉に農業利用されてもいるらしい。季節は春なのだとなとしみじみ感じる。フライング気味で菖蒲の当てが外れ、このまますごすごと帰路に着くには時間も早いし迷ったらまぁなんとかなるだろうと、方角の見当だけつけて葛飾特有の細く斜めや曲がりくねった道を、お花茶屋を目指して、チャリングを再開。お花茶屋といえばバレーボールの強豪、共栄学園やボクシングの亀田兄弟などで話題だが、今回の目的は某地域密着型エンタテイメントテレビ番組でも四位で紹介されていた「葛飾区郷土と天文の博物館」。京成お花茶屋駅から、曳舟川親水公園沿いに5分も走ると、右手に天文台の丸いドームが見えてくる。時間は午後2時40分。今年の3月24日にリニューアルされたプラネタリウムを見てみようと1時間毎の上映プログラムを確認すると、すでに3時からの回は完売していて、4時からの「ミュージック・プラネット」と17時15分の「かつしかから宇宙へ」いうプログラムを販売中だ。最近TVに取り上げられて話題なのは「かつしかから宇宙へ」の方らしい。職員のオヤジが押し売りのように両方見ろと迫って力説している。うるさいオヤジめ!おまえが叫ぶから今回は「ミュージック・プラネット」の方だけ見ることに決めた。券売機でチケットを買い、天井から1Fまで下がっているフーコーの振り子を見つつ、開始まで時間つぶしも兼ねて2Fの郷土の展示室へ。昭和30年代前後の葛飾の家屋や工場、民家などが実寸で再現されている。入り口を一歩はいると、未舗装のほこり臭い昭和の下町だ。うす緑色のカエルヅラのミゼットが工場の軒下に止まっている。K子さんは子供の頃、実家で使っていたということで、運転席に座りしばし思い出に浸ってご機嫌だ。ベーゴマを回した路地裏があり、薄暗く狭い部屋に大きな機械がいくつも入っていて、タタキの土の上に染み込んだ油の匂いがする工場が建っている。懐かしく面白い。実際に触ったり乗り込んだり出来るのがいいのだ。タイムスリップしたような気分になって、あっという間に4時からの開始時間を知らせるアナウンスが流れた。つい一月半前にもプラネタリウムを見たが、今回はデジタルじゃなくて光学式。要はレンズ式のアナログのマシン。だから、投影される星の数は少なめだけど、その星空の美しさは光学式だ。今回の「ミュージック・プラネット」というのは大人向けの企画プログラムで、3月から4月は「ケルト音楽 ケルティック・ウーマン特集」、例の荒川静香が使用した曲で知名度も上がったケルティック・ウーマンの歌声に乗せて、春の天体がゆっくりと回転してゆく。心地よく女性DJの声が入って、ナレーションが始まる。北斗七星から牛飼い座のアークトゥルス、乙女座のスピカを結んで大きく弧を描き出す「春の大曲線」、その先には四角いカラス座、獅子座のデボネラとアークトゥルス、スピカを結ぶ「春の大三角」、西空の裾にたなびく天の川、アルタイルやベガ、時々あまりの心地よさにフッと気を失う。ケルティック・ウーマン歌声が流れて、星々が瞬いたり、天体が回転してゆく。もうすぐ夜が明ける。流れ星が長い尾を引く。東の空が白む前にすーっとうすく赤らむ。明けの明星が最後の瞬きをして、月影が輪郭を失ってゆく。心地よさが余韻として残る。来月以降にも「ミュージック・プラネット」の新しいプログラムを体感したい気持ちになった。P.S.次回5〜6月のフューチャーアーティストは絢香らしい。最近ヒットの「三日月」のせいだろうか?まさか荒川静香から安藤美姫へのフィギアスケート選曲つながりじゃ無いと思うけど。


