「戦艦大和」「地球SOS」など少年雑誌巻頭を飾ったSF絵物語やイラスト、「サンダーバード」のプラモデルの箱絵など、
日本の少年なら見たことがない人はいないであろう、これら作品を描いた 小松崎茂 氏の生涯を、その作品群と共に時代を追って紹介。
門下生、根本圭助による編著と、夫人や弟子たちの証言も交えて綴った一冊。
本書は他の画集とは異なり、各絵画作品を大きく載せて鑑賞することではなく、氏の人生における多彩な画業の変遷を、
各時代の仕事の説明と600点以上の作品で追うことを主眼にまとめられています。
しかしながら、その筆致は、大きなサイズではなくとも十分に味わうことが出来ます。
戦前の挿絵画家の時代のあと、戦時中は時局に伴い1939年国防科学雑誌「機械化」において早くも空想科学兵器(ロケット戦車や、空中航空母艦など)を描き、
終戦直後の暗い時代には、少年たちに夢を与えた少年雑誌の絵物語は大ブームに。
そしていつしか、少年誌は月刊から週刊へ、その巻頭口絵・イラストで戦記もの、SFもので活躍。
プラモデルの誕生とともにボックスアート(箱絵)で戦艦、戦闘機、戦車などの実在兵器から、サンダーバード、キャプテンスカーレット、マイティジャック他キャラクターものまで多数を手掛けられました。
プラモの箱に描かれたダイナミックに躍動するメカニックと、想像力を膨らませてくれる物語のある世界は、他の画家を圧倒し、今も多くの人に愛されています。
映画との関わりにも触れられており、円谷英二が自宅に来訪され「地球防衛軍」のメカデザインとストーリーボードを直接依頼されたこと、
以来、「宇宙大戦争」「モスラ」「世界大戦争」「マタンゴ」「海底軍艦」「ドゴラ」「WOO」「怪獣大戦争」等にかかわり、
円谷英二との交流は仕事の枠を超え映画談義にも花を咲かせ、陰の力にもなったことについても記されています。
(「宇宙大戦争」「地球防衛軍」「海底軍艦」他のデザイン画を数点掲載。)
しかし当時はキャラクターデザイン等に対する意識は低く、クレジットにも名前が残らず、正当な評価もされませんでした。
「海底軍艦」の3年後には新作映画企画『空中戦艦』のシナリオが完成、デザインを依頼され描いた(モノクロで2点を掲載)が製作は中止。
そのヴィジュアルイメージは、後に「マイティジャック」にも影響を与えました。
近年では、レトロフューチャーのブームから、その画風と発想が再評価され、CDアルバムジャケットやゲーム「メタルギアソリッド2」のイラストなど、
新作も手がけられ、生涯現役で活躍。
氏自らは「挿絵画家になる心算はなかった。本当の画家になる心算だった。」と言われていたように、挿絵などの仕事は本意ではなかったようです。
2001年86歳のときに病床にいながらも、ファンに依頼された油絵「富士山上空のB29の編隊飛行」を描き、文字通りの絶筆となった様子まで正子夫人の言葉をもって記されています。
氏の壮絶に画業に生きた人生を、新たな角度から知ることができる名著です。
・その後、2006年7月には、絵物語「地球SOS」を原作にアニメーション「Prioject BLUE 地球SOS」が製作され、世界観そのままでCG化された未来社会の映像は感慨深いものがありました。
図説小松崎茂ワールド
著者:根本圭助 出版社:河出書房新社 サイズ:全集・双書 21.4 x 16.6 x 1.4 cm ページ数:167p
発行年月:2005年11月 本体価格:1,800円 (税込 1,890 円)
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小松崎茂オフィシャルサイト
http://www.komatsuzaki.net/
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