TOP>著者別(さ行)

2008年04月25日

★【Webook 2008.04.25】謎の会社、世界を変える。 ~ 須田将啓/田中禎人 + ジェイカレッジLAの話



   松山しんのすけからの、お知らせ。

   本日(4/25金、日本時間)は、ジェイカレッジです。
   当日参加もきっといいことがあります。
   なぜなら、参加すること自体が、素敵なプロジェクト(YA)に
   貢献できるからです。
   あなたも世界を変える一人になれる。
   講師は、福島正伸さん(アントレプレナーセンター社長)、そして、
   佐野一郎さん(YA ヤングアメリカンズ)です。
   100人を超える素敵な仲間が集まるセミナー。
   思い切って、いってみませんか! (残席、あと少し)
   → http://jcollege.jp/2008/seminar_36/


----------------------------------------------------------------------

++   Webook of the Day    from LA   
+++    http://webook.tv
++   Book diary by Shinnosuke Mats
続きを読む

2008年04月17日

[卒読ノート]アジャイルプラクティス


副題:達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣

著者:Venkat Subramaniam Andy Hunt 角谷信太郎/監訳 木下史彦/監訳

出版社:オーム社  2007年12月刊  //\/i/i2,520(税込)  203P


アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣    購入する際は、こちらから


私の愛読しているブログのひとつ「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」で本書を知った。このブログの筆者Dainさんが、「marsさんが、「システム開発に関わる人はみんな読めー」と強力にオススメするにつられて読む。これはスゴ本。marsさん、良い本を教えていただき、ありがとうございます。」と絶賛していたのは2月中旬。ソフトウェアエンジニアのはしくれとして僕もぜひ読んでみたいと思い、さっそく手に取った。


読みはじめたまでは良かったが、やはり僕は「はしくれ」なので、まず「アジャイル」の意味が分からない。もちろん「プラクティス」も分からないし、「イテレーション」と言われても「はぁ?」ってなもんである。

そんな読者を想定してか、冒頭の「アジャイルの本質」で本書のキーワード「アジャイル」について解説してある。


本書によれば、「アジャイル」という名前が付けられた開発手法は、2001年2月に発表された「アジャイルマニフェスト」に端を発している。よりよいソフトウェア開発方法を解明しようとして議論した結果、次のような価値観が根底に据えられたのである。

  - プロセスやツールよりも、人と人との交流を(重視する)

  - 包括的なドキュメントよりも、動作するソフトウェアを(重視する)

  - 契約上の交渉よりも、顧客との協調を(重視する)

  - 計画に従うことよりも、変化に対応することを(重視する)


この「アジャイルマニフェスト」を実現するための具体的手法を述べるため、本書は次のような章立てで構成されている。


  第1章 アジャイルソフトウェア開発

  第2章 アジャイルの初心

  第3章 アジャイルさを育む

  第4章 ユーザが求めるものを提供する

  第5章 アジャイルなフィードバック

  第6章 アジャイルなコーディング

  第7章 アジャイルなデバッグ

  第8章 アジャイルなコラボレーション

  第9章 終章:アジャイルへ踏み出す


それぞれ章はいくつかの節に分かれているが、その節の構成がおもしろい。

まず最初に「悪魔のささやき」が登場し、アジャイルでない方向へ読者を誘い込もうとする。悪魔に負けない解説文を駆使してアジャイルの方向に読者を向けたあと、正反対の結論をこんどは「天使」が高らかに宣言するというベタな展開。秀逸なのがその後の「こんな気分」というセクションで、2〜3行でアジャイルな考え方を的確にまとめてくれる。最後に必ず「バランスが肝心」というセクションで行き過ぎにブレーキをかけているのが、いかにも「アジャイル」だ。


ドキッとさせられたり、感心したりする指摘が多かった中で、特に身につまされたのが、次の内容。

呼び出す側が、呼び出されるオブジェクトの状態に基づいて判断して、呼び出される側のオブジェクトの状態を変更すべきではない。ここで呼び出す側が実装しようとしているロジックは、呼び出されるオブジェクトの責務だ。呼び出す側の責務ではない。オブジェクトの外側での判断や状態変更を許してしまうと、オブジェクトのカプセル化を破ることになる。これはバグの温床になりかねない。

     第6章 アジャイルなコーディング “Tell, Don't Ask”――求めるな、命じよ より

                    ※太字は原文のまま


今コーディングしているプロトタイププログラムがしっちゃかめっちゃかになってきたのは、そういうことだったのか!! なあ〜るほど。



ちょうど読み終わったころ、福島正伸さんの出版記念パーティで小飼弾氏と話していて本書が話題になった。

「プログラム制作の基本を反省する機会になった。良い本だった」と僕が感想を述べると、さすがに一言居士の小飼氏。「コーディングの具体例がほとんど載っていないのは致命的。契約の問題もあって公開しづらいのかもしれないが、それなら、こんな奥歯に物がはさまったような本を出さなきゃいい」と、バッサリ切って捨てた。


今でもコーディングし続けている小飼氏ならではの厳しい視点だ。でも、そこまで言わなくてもいいじゃないか。(ちなみに、小飼氏は自身の書評ブログ「404 Blog Not Found」で本書を取り上げていない)


やっぱり僕の書評には、褒めたい本だけを取り上げていこう。

2008年04月14日

知識・経験に基づく直感力(できる人の直感力)

できる人の直感力―あなたの潜在能力が目覚める30のメソッド

いつもお世話になってる佐々木正悟さんの新刊、「できる人の直感力」。サブタイトルにもあるように、直感力について30のハックを解説した1冊です。「直感」を「論理的に」扱うという、ちょっと矛盾したようなテーマに感じるかもしれませんが…脳科学的にみれば妥当なことだったりします。

にほんブログ村 大学生日記ブログ 大学院生へ

直感とは

本書での「直感」とは、

個人差の大きい知覚による大事なポイントを見分ける能力。本能を含み、経験次第でいろいろな分野で発揮される。

と定義されています。いわゆる第六感のようなものではなく、自分の知識や経験に基づいて、「なんとなく○○かな」と感じるものを直感とするわけです。動物的な本能の部分も含まれますが、「知識・経験ベース」というのがポイントです。

例えば、紫色のキノコがあったら、なんか毒々しくて食べたくない感じがします。…でも、その「毒々しい感じ」はどこから来ているのでしょうか。RPGのようなゲームでそんなイメージがあったから、とか理由は様々だと思いますが、どこかにその元になった部分があるはずです。

このような判断を「直感」と呼ぶわけですね。

直感を鍛える

本書では、直感力のベースとなる「想像力」「経験知」「注意力」という3つの能力を育てるためのハックが紹介されています。どれも日常生活の中で取り入れやすいものとなっていますので、1つずつ実行してみると面白いかも。30個なら1ヶ月ペースで「今日は3番目」「明日は4番目」と実施してみるのも可能ですし、色々と実践の仕方も考えられそうです。

※「マインドマップをやってみる」なんていうのも入ってます。本書では経験知に分類されてますが、イラストを多用することで想像力を鍛えることにもつながってくるかと思います。

佐々木さんの書籍らしく、単なるハック紹介だけではなく、心理学の知識に触れることもできる内容となっています。ライフハック好きの方だけでなく、心理学や人間行動に興味のある方にもオススメな1冊です。

画像なし
できる人の直感力―あなたの潜在能力が目覚める30のメソッド

  • 佐々木 正悟
  • ASIN: 482841424X
  • [単行本]
  • 価格: ¥ 1,365
  • ビジネス社
Amazon.co.jp で詳細を見る

編集後記

Amazon画像がない本が増えてきた感じです(´・ω・`) デジカメで撮ってUPした方が見栄えいいかなぁ、と考えている今日この頃。そうすると転送が面倒になるのでEye-Fiカードなんかが欲しくなります・・・w

Tags: , ,

関連する記事

2008年04月09日

[卒読ノート]パソコンの「Word」で描ける!イラスト練習帳


著者:佐々木博/文 新山博美/絵  出版社:講談社  2007年7月刊  //\/i/i1,260(税込)  79P


パソコンの「Word」で描ける! イラスト練習帳 (講談社の実用BOOK)    購入する際は、こちらから


プレゼン用の文書を作るとき、たいていパワーポイントを使っている。

みばえのする資料にしようしてついついイラストをたくさん使ってしまうと、てきめんにファイルが大きくなる。パソコンのディスク容量がどんどん大きくなっているので、印刷するだけなら問題ないが、メールに添付して送ろうとすると、とたんに困ってしまう。


ファイルサイズをあまり大きくしないイラストを作る方法はないか、と思っていたところで本書に出会った。

「Word」で描ける。しかも基本図形だけで描けるイラスト。しかもしかも、マルとシカクだけのいわゆるポンチ絵ではなく、本格的なイラストを練習できるスグレモノだ。


まず、この本が載っているアマゾンの「その他のイメージを見る」を見て欲しい。りんごの光沢まで表現したイラストや、人物の顔の向きの違いを画きわけるイラストまで載っているのだ。


題名に「練習帳」と付いているのはだてじゃない。

自分なりに問題に回答してから答えをみると、「あ〜、そうかぁ」とか「やられた!」と感じる。

傾けた楕円を2つ使っただけでリンゴの形になることや、白い小さな丸を加えると光沢に見えることに、教えられてはじめて気づく。


絵心さえあれば、簡単な道具で表現できるんだ!


ところで、最近 Word で図形を描いていると、描いた図形が文書の中にデーンと居座るようになって困っていた。

どうも、Word 2003 になってから起きているような気がしていたが、本書の「絵を描く準備をしましょう」を見て、理由が分かった。


Word のメニューバーで「ツール」→「オプション」をクリックして表示したオプション画面の「全般」タグに、「オートシェイプの挿入時、自動的に新しい描画キャンパスを作成する」という項目があるらしい。このチェックを外せば、気持ちよく動かすことができるようだ。


この本、めっけもん。

2008年03月07日

ライフハックとその背後にある心理学(ライフハックス心理学)

ライフハックス心理学 みるみる「やる気」と「時間」を引き出す43の方法

佐々木正悟さんの「ライフハックス心理学」。「やる気」と「時間」に関する43のHacksです。「ライフハックだけでなく、その背後にある人間心理についても理解を深めてみたい!」という方にオススメ。もちろん、単に使えるHacksを探すだけでも効果アリです。

※表紙にはGoogleカレンダーやCheck*Padぽい絵が書かれていますが、ツール紹介というよりは心理学と絡めたHacks紹介が大半です。お間違えのないように。

東大生ブログランキング

小山さんの「○○HACKS」は手法の紹介がメインなのに対し、佐々木さんのHACKS本は心理学に踏み込んだ解説が多いのが特徴です。これは好き嫌いもあると思うので一概に言えませんが、僕としては(研究で心理を扱っていることもあって)こういう本の方が興味持てます。

例えば…「手がつかないタスクは名前を変える」。GTDでもプロジェクトや次の行動リストに居座り続けるときは「ちょっと名前を変えてみる」「具体的に見直してみる」ということをよく行います。

これだけでも実践する分には問題ないのですが、どうせならそこにプラスして「何でそれでうまくいくの?」という事も考えてみたくなります。その方が応用も効きやすくなりますし。…で、この例で言えば「イメージが湧かないと行動できない」という、心理学的な切り口のコラムにつながるわけです。

ライフハックの部分だけでも、心理学的な部分だけでも、両方読んでも…それぞれの面白さがあるので、一粒で二度以上おいしい本になってます。

実践方法とその理論。2者のバランスがとれていると、受け入れやすくなりますね。

ライフハックス心理学 みるみる「やる気」と「時間」を引き出す43の方法
ライフハックス心理学 みるみる「やる気」と「時間」を引き出す43の方法

  • 佐々木 正悟
  • ASIN: 4756150071
  • [単行本(ソフトカバー)]
  • 価格: ¥ 1,575
  • アスキー
Amazon.co.jp で詳細を見る

この本で心理学関係に興味を持ったら「MIND HACKS」なんかも面白いかも。

Mind Hacks―実験で知る脳と心のシステム Mind パフォーマンス Hacks ―脳と心のユーザーマニュアル―

編集後記

花粉症か、風邪か…鼻の調子が変。そしてプチ頭痛orz

Tags: , , ,

関連する記事

2008年02月24日

[読書ノート]グリム童話


副題:メルヘンの深層

著者:鈴木 晶  出版社:講談社現代新書  1991年1月刊  //\/i/i693(税込)  214P


グリム童話―メルヘンの深層    購入する際は、こちらから


前々回とりあげた『奪われた記憶』は333ページもあるぶ厚い本なのに思ったよりスラスラと読むことができました。内容が興味ぶかかったことも理由のひとつですが、もうひとつの理由は翻訳が読みやすかったからです。

翻訳者の鈴木晶さんのプロフィールを見たところ、精神分析の文化史を専攻しておられ、キューブラー・ロス『死ぬ瞬間』や、フロイト・ユングに関する本も多数翻訳しています。


この訳者の別の本を読んでみよう、と著作一覧を見ていて見つけたのが本書です。ただし、今回は翻訳書ではなく、自分で研究した内容をまとめたものです。


グリム童話を分析・解説する本は多く、私もおととし12月9日号で高橋義人著『グリム童話の世界』を取りあげています。


高橋氏の本で知ったのは、グリム兄弟が収集したお話を7回改作して出版しているということ、その改作は「そのままの形で伝えるため“最低限”の脚色しかしていない」と本人たちが言っていることでした。

今回手にした鈴木氏の『グリム童話』では、そんな兄弟の言い訳が真っ赤なウソであることを白日の下にさらす、衝撃的な説を述べています。鈴木氏の説はあまりに刺激的で、すぐには信じられません。順番に鈴木氏の説明を聞いていきましょう。



第1章では、私たちが知っているグリム童話は、グリム兄弟が出版した200編のごく一部であることを示し、知られていないグリム童話には、「これ、メルヘンなの?」というナンセンスなものも多い、という紹介からはじまります。

鈴木氏は、何のストーリー展開もなく、登場人物が次から次へと死んでしまう物語を例としてとりあげます。意味もなく残虐なシーンが出てくるといえば、白雪姫が毒リンゴで殺される前に、櫛と縄を使って殺されそうになったもそうです。ディズニー映画の印象が強い現代人はよく知りませんが、白雪姫は3度も殺されそうになりました。

本書全体が「知られざる事実」のかたまりですが、第1章はその導入部といえるでしょう。


第2章では、いままでのメルヘン研究を概観し、さまざまな解釈を紹介します。ちょっと笑ってしまったのは、昔話を類型ごとに分類する研究で、昔話を動物説話、笑い話・逸話など5つの「類」に分け、さらに「類」をいくつかの「種」に分け、その「種」をさらに「亜種」に分類したアールネという学者がいて、いまでも世界的によく知られているそうです。

学問というのは、何でも分類したがるものなのですね。

うんうん、そういう傾向がアールネ。(なんちゃって(笑))


続いて紹介されたフロイト派とユング派の童話解釈も、「おいおい、そりゃこじつけ過ぎだろ!」とツッコミを入れたくなるような内容でした。


鈴木氏は、フロイト派のエーリッヒ・フロムが「“あかずきん”の赤は月経の色」と解釈していることを示したあと、じつは「あかずきん」物語の主人公は赤いずきんなどかぶっておらず、フランスの童話作家ペローが赤いずきんを付け加えた、という事実を明かしています。


何でもかんでも深読みする精神分析をバッサリと切り捨てたのです。

やるなあ。鈴木さん。


そして、いよいよグリム兄弟のウソをあばく第3章。

グリム兄弟は、庶民の代表のような農家のおばあさんから話を聞いたことになってまいます。また、聞いた話の内容を変えていないことになってます。


ところが、グリム童話が出版された直後から、「グリム兄弟は農村を訪ねてまわったりしなかった」との批判が出ていました。

後の研究で明らかになったグリム兄弟の取材先は、中産階級で(農家ではない)、若い女性で(老婦ではない)、教養ある女性で(本で読んだ内容を含むかもしれない)、フランス系ドイツ人でした。


これでは、ドイツ庶民が口承で伝えた話を集めたことになりません。


もうひとつ、「話の内容を変えていない」がウソであることは、草稿から第7版までの内容を比べれば、おのずから明らかになることです。


何より、話の長さが、ほぼ倍になっています。鈴木氏が例としてあげた「カエルの王様」は、草稿で3行だったのに、初版で6行に増え、第2版で7行になり、決定版では11行に達しました。


さて、グリムのウソをあばいた鈴木氏は、グリムを糾弾するかわりに、グリム童話をもっと楽しむことを提案しています。


「古代から伝えられた物語」ではなく、「19世紀ドイツの価値観で書き換えられた物語」という目で見てみると、この物語に込められた“陰謀”が見えてくる。それを楽しみましょう、というのです。


別な角度から見ることによって、子どものころ読んだグリム童話の持つ意味が違って見えてくるのは楽しい。