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2008年04月19日

[読書ノート]生きていてもいいかしら日記


著者:北大路 公子  出版社:毎日新聞社  2008年1月刊  //\/i/i1,470(税込)  206P


生きていてもいいかしら日記    購入する際は、こちらから


エッセー集です。


どこかで売れる本の特集を読んだとき、エッセイを書きたい素人の多さに反比例するかのように、売れるエッセイというのは少ない、と書いてありました。


作家や芸能人が書いたエッセーなら読者も多いのですが、無名人のエッセーはまず読まれません。これから本を出そうと人が最も手を出してはいけないジャンルの一つである、と断言していました。ブログに自分の日常を書く人は多くても、エッセー集として商業出版できる人は少ない、とのこと。


言われてみれば、確かに私も無名人のエッセーを読むことはほとんどありません。


今回も、題名に惹かれて本書を手にしたもの、まったく聞いたことのない著者ですので、おもしろくなければすぐにやめるつもりで読み始めました。


1つ3ページの小話を集めた構成です。

読み始めて3ページで、「ん?」と思いました。

6ページ読んだところで「クスリ」とし、12ページで大笑い。

20ページ読んだあたりで、この人の文章力に脱帽しました。


これはいい人を見つけた!


著者は40代(たぶん後半)の独身女性で、札幌市内で親と同居。

好きなもの、昼酒。

座右の銘は「好奇心は身を滅ぼす」。

職業はライターという一種のプータローで、ときどき引きこもりしては社会復帰を繰り返すというトホホな生活を送っています。


「いいとこなし」のキミコさんの日常は、とくに大きな事件は起こりませんが、なぜか笑えるネタが転がっています。


昼間の回転寿司で楽しくビールを飲んでいたら、となりに座ったじいさんに説教された、とか、

トイレ掃除をしていて、うっかりボタンに触ってシャワートイレの水を頭からかぶってしまった、とか

2年も会っていない友人から涙ながらに「話があるから来て」と電話を受け、行ってみたら30万円もする鍋を売りつけられそうになった、等々。


たまに「何もない一週間だった」という書き出しではじまったと思ったら、本屋のトイレの前で大学生くらいの女の子が「私、妊娠したかも」と涙ながらに男の子に告白している場面に出会ったりしています。

一瞬でふたりの関係を理解したキミコさんは、三角関係の女の子がもうすぐ現れるにちがいない、と想像力をはたらかせました。立ち読みしながら三角関係の女の子を待っても、だれも現れないのですが、待っているあいだに、このあとの二人の修羅場の様子にまたもや想像の翼を広げます。


キミコさんのこの妄想癖は、自堕落な生活の様子と共に、一種の「芸」の領域に突入しています。たとえて言うなら、ちびまる子ちゃんがそのまま大人になったようなものでしょうか。


『サンデー毎日』の連載エッセー。大人気だそうです。


私からも、超お勧め!!

2008年03月27日

[読書ノート]ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。


副題:深呼吸する言葉

著者:きつかわゆきお  出版社:バジリコ  2008年3月刊  //\/i/i1,260(税込)  127P


ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。    購入する際は、こちらから


いやはや、なんともキャッチーな書名です。


本を手にする前に私がタイトルから受けた印象は、『国家の品格』のように若者に向かって何かお説教をぶっている評論集かなあ、というものでした。


実際に本をひらいてみると、予想は半分ハズレでした。

大きな活字で、1ページに2、3行のことばが書いていて、評論集というよりは、詩集のような体裁です。

半分当たっていたのは、その短いことばがグサッグサッと、心に刺さってくることでした。


少しだけ例を挙げます。


  友だちの友だちは、赤の他人に決まってる。

  1対1の関係をなめないように。


  今を生きる。

  今しか生きる場所はなく、生きる理由もない。


人の生き方について、一刀両断するような、結論をズバッと言う言葉が並んでいます。


さすが、我が師匠。


そうなんです。

本書は、リアル・テキスト塾という私塾でお世話になった橘川幸夫さんの最新刊なのです。


橘川さんは、若いころから、人生について、国家について、文明について、世界について、何でも自分の心と頭で考える人でした。

誰かえらい人の借り物ではなく、自分の心の底から発する言葉は、常識にどっぷり浸かっている一般人からすると、ハッとさせられるような警句になって響いてきます。


昨年、コピーライターの糸井重里さんとはじめて対談したとき、糸井さんは橘川さんのことを「この人は『おれに言わせりゃの宝物殿』」と評しました。


私もリアル・テキスト塾に参加しているころ、塾長の橘川さんが、

  「日本とはこういうものだ」

  「世界はこう動いているのだ」

  「だいたい文明というものはなあ……」

なんて話を、浴びるように聞いていました。この塾、たしか文章塾ではなかったのなか(笑)、と不思議に思いながら。


そんな橘川さんが一番書きたい内容を、一番伝えたいスタイルで出版したのがこの本で、ご本人は「第2のデビュー本」とまで言っています。


「あなたの人生を変えるメッセージ」という帯の言葉は、あながち嘘じゃありません。


ぜひ、書店で手にとってみてください。



本の内容からはずれますが……


橘川さんはリアル・テキスト塾という私塾を開催しています。

現在、第9期生を募集中ですので、興味のある方は、こちら を覗いて見てください。



■趣旨

*書くことの意味を考えます。

*伝えることの意味を考えます。


■内容

*授業は2時間。座学とワークショップになります。

*毎回、課題による宿題があります。


■募集人数

*1期につき8人前後とします。

*開始は、8人の希望者が集まったらスタートします。


■期間

*月2回、土曜日の16時から18時です。

*3ヶ月、6回の授業があります。


■参加費

*1回につき3000円。3ヶ月18000円前納です。


■参加方法

*参加希望者は橘川までメールください。

開講月が決まりましたら、こちらから連絡致します。

*現在8期生まで終了して、9期生を募集しています。



私は第3期修了生です。2005年の1月から3月まで参加していました。

また、先輩の第2期の修了生に、『黄金のおにぎり』『幸せって何?』等の著者である高橋朗さんもおられます。


私が参加していたころは、東急の学芸大学駅から歩いて5分ほどのところにある橘川さんの事務所の1室で開催されていました。土曜日の16:00〜18:00が講義で、そのあと、各自持ち寄ったお酒とおつまみで懇親会に突入します。

懇親会には、橘川さんの友人の中でもとびきりアヤシイ人(笑)や、リアル・テキスト塾の先輩が飛び入り参加します。


「あなたの人生を変えるメッセージ」という本の帯の言葉は、この塾に参加すると実感できます。


ご検討ください。

2008年03月02日

勉強に役立つ小技x89(STUDY HACKS!)

STUDY HACKS!

さて、久しぶりに読書録。今回はHACKSシリーズの勉強編です。IDEA HACKSから色々と派生し、勉強法にまで広がってきました。…やっぱりトレンドってあるんですかね。

東大生ブログランキング

本書でしかお目にかかれないようなモノを。

ツール編に関しては、勝間さんの本などでも紹介されているモノが多いので、そちらを読んでいる方にとってはちょっと物足りないかもしれません。個人的には、本書の中で役に立ったのは環境管理やキャリア形成につなげるHACKSの部分です。

夜のお散歩で○○するHACK」なんて、読んだのは初めてだったのでちょっと感激しました。冬場では風邪引いてしまうおそれもありますが、「勉強の気分転換に夜道の散歩&そのついでにリスニング勉強」なんて行えるといいかもしれません。

また、他にも「○○を聞いて集中する」「覚えたことはできるだけ○○」など、小山さんの本でしかお目にかかれないようなHACKSもいくつかあります。今、合計3つのHACKSを(伏せ字付きで)載せましたが、1個500円として本が1500円。まあ、これくらいでも元は取れる…でしょう(きっと)。

勉強の本にあまり触れていない人は1冊丸ごと。既に色々と勉強のコツを身につけている人は、小山さんの本独自のところだけを拾い読み。自分に合った読み方で、勉強の効率UPを目指してみてください。

おまけ:HACK 90

実践してこそ、意味がある。

HAKCSばっかり身につけても、実際にやってみないと意味がありませんので…そこだけはご注意を。

なお、細かいことですが…マインドマップツールとしてはMindManagerよりiMindMapをオススメしたいです(苦笑)。

Buzan's iMindMap日本語版スタンダード・エディション MindManager Pro 7 日本語版 CDパッケージ / 無料電話サポート付 0120-915-976

階層構造で整理するだけの方が便利な事もあるので、難しいんですけどね。

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編集後記

風邪ひきました。。ちょっと喉痛いorz

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関連する記事

2008年02月18日

求められる科学技術コミュニケーションとは?(はじめよう!科学技術コミュニケーション)

はじめよう!科学技術コミュニケーション

北海道大学で行われている、科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)による著作。この養成ユニットは、国立科学博物館で行われているサイエンスコミュニケータ養成講座と同系統のものです。

※言葉を使い分けるのも面倒なので、科学技術コミュニケーター≒サイエンスコミュニケーター(SC)としておきます^^;

本書の後半は「コミュニケーションのための方法」が具体的に紹介されていますが、今回は「なぜ行うのか?」という本書の前半部分を中心に拾っておきます。

にほんブログ村 大学生日記ブログ 大学院生へ

双方向のコミュニケーション

「コミュニケーション」という言葉が示すとおり、一方通行的な表現ではなく、専門家と非専門家、お互いに理解し合う、学び合うことが必要となります。

例えば、「専門家が非専門家に知識を伝えれば、科学技術を理解してもらえる」といった知識の押しつけ的な考え方はNG。もちろん知識を提供することは必要ですが、それと合わせて専門家側も現場の知識、価値観などを学ぶ必要があります。一方的に押しつけるだけでなく、相互に理解してこその「コミュニケーション」ですよね。

「伝える」大切さ

トランス・サイエンスと言われる、「科学に関わる問題であるけれど、科学だけでは答えられない問題」というものも増えてきています。社会とのあり方を問われるもの(原子力、医療、リスク問題など)は、その代表例と言えます。

サイエンスカフェでの対話から見つかる、新しい視点。実際に現場へ入る事で、初めて見えてくる課題。こうした場を、どうやって作り上げるか。専門家と非専門家が対話する場で、どのようなコンテンツを扱うか。

研究室の中で研究を進めることに加えて、これまではあまり重視されていなかった「伝える」ことにも注目が集まっている、というわけです。ジャーナリストとして伝える、ライターとして伝える、教育者として伝える…色々な形式はありますが、まずはこうした活動そのものに興味をもつ人(特に専門家の側)が増えることが第一歩、ですね。

SC活動用のブログ

SC活動の一環…ということで、「サイエンスコミュニケーションblog」を作ってみました。以前にもこっそり作ったり消したりしていたのですが(汗)、今度は腰を据えてしっかりと。

まだしっかりとは更新を行っていませんが、

  • 科学技術に関する報道やニュース
  • やや教科書的な内容
  • 科学技術コミュニケーションの必要性
  • 自身の扱っている研究

といったことをテーマにしていきます。コメントやTBもオープンにして、双方向メディアとして運営中です。

関連ブログ

この辺りのブログから、CoSTEPの雰囲気も見て取れるかと思います。

はじめよう!科学技術コミュニケーション
はじめよう!科学技術コミュニケーション

  • 北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット
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編集後記

今週の木曜からはSCの後半がスタート。それまでに1,2回くらいはSCブログ書けるようにしたいなあ。

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関連する記事

2008年02月16日

[読書ノート]奪われた記憶――記憶と忘却への旅


著者:ジョナサン・コット/著 鈴木晶/訳

出版社:求龍堂  2007年10月刊  //\/i/i2,730(税込)  333P


奪われた記憶―記憶と忘却への旅    購入する際は、こちらから


躁状態のまったくない重度のうつ病をわずらい、自殺願望に苦しむ著者は、病院でECTという電気ショック療法を受けました。ECTとはヘッドホンのような器具で約200ボルトの電流を患者の脳の前頭葉に送る治療法です。

コット氏は36回の電気ショック療法を受けたことによって、15年間の記憶を失ってしまうという予想もしない事態に陥りました。


よく知っているはずの友人が誰か分からなくなり、IQも目に見えて低下し、学習力も損なわれました。何冊も本を書いたことを思い出せないばかりか、使いたい言葉を見つけるのに苦労し、本を読んでも内容をすぐ忘れます。


記憶を失ったコット氏は、その間の人生そのものが失われたことに愕然としました。


絶望から立ち直ったコット氏は、記憶障害に苦しみながら、記憶とは何か、忘れるとは何かという問題の究明を開始しました。

かつて敏腕インタビュアーとして活躍していた経験がどの程度よみがえったかは分かりませんが、神経関係の学者や宗教家、作家、女優など多彩な人々と「記憶」をキーワードにした対話を続けます。


電気ショック療法、記憶障害という重いエピソードではじまった本書は、著者がインタビューを開始するあたりから、人生の意味を探求する求道の物語に変わっていきました。


人生にとって記憶とは何なのか。忘れるとは何なのか。

古代ギリシアの時代から伝承されている古典的記憶術があるかと思えば、トラウマとなっている記憶を忘れる方法が研究されている。


記憶について探求するインタビューの数々を読んでいると、刺激を受けた自分の脳の片隅から、いままで読んだ本の内容や、自分の人生の記憶がよみがえってきます。


たとえば、アマツハイマー氏によって発見された「生きる能力を少しずつ失っていく病気」の考察を読んで、最近読んだ『ちいさなちいさな王様』を思い出しました。(1月26日の卒読ノート参照)


アルツハイマー病の進行と、子どもの成長を比べると、能力の獲得と喪失の順序は、鏡に映したように逆の関係になっているそうです。

『ちいさなちいさな王様』の国でも、人は生まれたときが一番大きく、年をとればとるほど小さくなっていきます。この物語の寓意のひとつは、アルツハイマー病の意味を考えることなのかもしれません。


また、アフリカの口碑伝承者グリオの内容を読み、四半世紀前にベストセラーになった『ルーツ』を思い出しました。

アフリカから連れてこられた黒人の子孫は、自分自身の先祖(ルーツ)をたずねてアフリカを訪れ、最初の主人公のクンタ・キンテの名前が伝承物語に出てくることを知りました。

自分の家系に伝承されてきた内容と、アフリカで伝承されてきた内容が一致したことで、彼は自身の存在が深く大地に根ざしている感覚を得ます。


何より、生きていることの根元を考えさせられるのが、「前世の記憶」です。かつて日本人に親しみのあった「輪廻転生」の考え方は、物資主義や西洋的価値観=人生は一度きりというキリスト教的考え方の影響を受け、信じる人が少なくなったような気がします。


しかし、著者のコット氏によれば、ギリシア哲学者にも輪廻転生の考え方は受け入れられており、驚いたことにキリスト教でさえ1545年まで受け入れられていたとのことです。


自分の心と考えとは、どこにあるのか。

心をほんとうに分解してみると、「これが私の心です」と言えるものは、実際にはない、というチベット仏教の導師のことばは、「自分」の本質とは何か、ということを考えさせてくれます。


医学的・肉体的・物理的アプローチや、哲学的・精神的・神秘思想的アプローチを尽くしたコット氏は、最後に、自分と同じように突然の記憶障害に苦しみ、自分よりも強い運動障害を持つ人物に会いにいきます。


著名な小説家、詩人、エッセイストのフロイド・スクルートは、飛行機の機内で感染したウィルスによって脳を損傷され、記憶障害や認知能力の低下に苦しんでいます。


二人の対話の最後にスクルート氏は「どんな質問をされたのか、ひとつも覚えていません」と明かし、それでも、自分と同じ経験をした人が目の前にいるだけで、孤独感を和らげてくれることを告げました。


「記憶」を探求したインタビューの果てに、コット氏は次のように述べています。


  おそらくいつの日か、私は自分の記憶にチャンネルを合わせる

  方法を見つけるだろう。目が覚めたら、すべてを思い出すだろう。

2008年02月12日

[読書ノート]33人の否常識 常識破りの組織に変える


著者:グループ・オブ・33 セス・ゴーディン/編 宝利桃子/訳

出版社:きこ書房  2008年1月刊  //\/i/i1,470(税込)  247P


常識破りの組織に変える 33人の否常識    購入する際は、こちらから


アメリカのビジネス書ベストセラー作家が、型破りな発想術72個を披露し、読者の固定観念をやぶってくれる、とてもオイシイ本です。


内容が「型破り」なのはもちろんですが、本書の成り立ちも一風変わっています。


編者のゴーディン氏は、マーケティング系の書籍を多数発行している売れっ子作家です。なかでもベストセラーとなった「『「紫の牛」を売れ!』には、読者からさまざまな反響が寄せられました。

もっとも目についたのが「秘訣を教えてほしい」というものです。しかし、読者の状況はさまざまですから、全員にピッタリの答えなど教えてあげられるわけがありません。

そこでゴーディン氏は、「ビジネス界のスーパースターに呼びかけて、成功するための持論を語ってもらおう」と考えました。


「収益は慈善団体に寄付する」という売れっ子作家の呼びかけに応じてくれた有名人33人が、原稿料無料で書いてくれたのが本書です。


日本でいえば、勝間和代さんが孫正義氏・御手洗冨士夫氏・三木谷浩史氏などの財界人や、笠原健治氏・近藤淳也氏などの起業家、森永卓郎氏・茂木健一郎氏・梅田望夫氏などの有名ウォッチャーに呼びかけるようなものでしょうか。


もうひとつ本書が型破りなのが、それほどの有名人に書いてもらった原稿を、誰がどの文章を書いたのか明かしていないことです。33人の「有名人」の名前とプロフィールが、冒頭に簡単に紹介されているだけです。

なぜそうしたかというと、誰が書いたか分からないので読むときに「頭の中を切り替えなくて済む」と、理由が書かれていました。

しかし、ゴーディン氏の意図は別のところにある、と私は考えます。


33人の宝石のようなアドバイスを、誰が書いたかという先入観で読んでほしくない。あなたの知らない人が書いた文章でも、あなたの「秘訣」にフィットする可能性がある。そのチャンスをみすみす見逃さないで欲しい。

本書の構成には、そんなゴーディン氏のメッセージが込められているに違いありません。


そんな編者の意図を推測しながら、実際に本文を開いてみると、個性的な33人が書いただけあって、一見バラバラな内容を語っているように見えます。


たとえば、39番目のメッセージの著者が、

  自分が創造力がない、独創性がないと思いこむのは間違っている。

  型破りなものを抑制する組織の性質に屈してしまうからだ(要旨)

と独創性をもっと発揮するように主張したと思ったら、41番目のメッセージで、

  「現代のマーケティングはあまりにも複雑で、

   マーケティング担当者は独創的であろうとするあまり、

   自らの仕事や会社の業務を混乱させ、さらには自分の人生

   までをも困難なものにしている」

と、独創性が不要であると説いています。


もちろん、同じ傾向の考えを持つ著者もいて、メッセージ48で、自社株の25%もの先行投資をして成功した会社の決断を褒め称えたあと、メッセージ55でも慎重な経営姿勢が事業拡大のチャンスを逃した例をあげて「失敗は、早く安くしてほうが良い」とアドバイスしています。


全体を通じて敢えて共通点をあげるとすれば、一つひとつの内容が刺激的で、

   自分自身の考えを突き詰め、

   常識に反することを恐れずに行動すれば、

   きっと輝かしい成果をあげられる

という励ましが込められていることでしょうか。


刺激的すぎて同意できないメッセージも、納得して同意できるメッセージも、両方とも常識を破るきっかけを読者に与えてくれることは間違いありません。

2008年01月21日

★【Webook 2008.01.21】なぜ消防署で住宅ローンがバカ売れするのか? ~ 杉村晶孝 + iTouch

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------------------------------------------------------2008.01.21-----


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   |杉村晶孝/著
   |ダイヤモンド社
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2007年12月23日

[読書ノート]幸せさがし


著者:鎌田 實  出版社:朝日新聞社  2007年9月刊  //\/i/i1,260(税込)  228P


幸せさがし    購入する際は、こちらから


私の大好きな鎌田先生の本をまた読みました。

本書は『週刊朝日』に2005年5月〜2006年12月まで連載した「がんばらないけどあきらめない」というエッセイの一部を、大幅に加筆改稿して構成しなおしたものです。


この1年半のあいだに、鎌田先生はいろいろな人と出会い、相手の生き方に感動したり、一緒に何か行動を起こしたり、お互いに励まし合って生きてきました。

その出会いのエッセンスを、鎌田先生は毎回「幸せさがし」のヒントとして教えてくれます。


たとえば、左手だけでピアノを弾く舘野泉さんという世界的ピアニストと会ったあと、次のように教えてくれます。

  幸せさがしのヒントがひとつ見えてきた。

  大切なものを失っても、病気になっても、幸せを見つけることはできる。

  間違いない。欠点をひとまず横に置いて、長所を伸ばそう。


また、ある生命保険会社で特別に優秀なセールスレディ(しかも親子3人)と食事をして、すご腕の秘訣を聞き出したあと、鎌田先生は次のように幸せのヒントを導きだしていました。

  幸せになるためには、相手に対する想像力、共感力が大切。

  これがあればあなたは一流の仕事人にもなれる。幸せにもなれる。


印象的だったのは、鎌田先生がほかの人にお願い事をした話と、お願いごとをされた話の類似点でした。


2005年の秋、ベラルーシの病院でジャズトランペット奏者の坂田明が「ひまわり」という曲を吹きました。大きく心を揺すぶられた鎌田先生は、ベラルーシからモスクワまでの夜汽車の中で坂田さんを口説きました。

「命とか絆とかいうタイトルでCDをつくらない?」と。

癒しの音楽なんて絶対にやらない、と坂田氏は強く拒否しましたが、病気の子どもたちに薬を送る活動の資金にする、と聞いて心が動きます。さいごには協力してくれることになり、鎌田實ファースト・プロデュースのCD「ひまわり」はジャズでは大ヒットの1万7000枚も売れました。


逆のケースは、「中学校の名誉教授になってほしい」とお願い事をされた話。

ある日かかってきた電話は、母校の杉並区立和田中学校の校長からでした。さだまさしの弟って言われてます、と自称する藤原和博という不思議な校長先生で、話をしているうちに、何でも応援させてくださいという気持ちになってくるのでした。


鎌田先生は歌手のさだまさしとも友人ですので、藤原和博を知っているか聞いてみました。なんと、藤原氏の結婚式でさだが歌ったことがあり、藤原氏に頼みごとをされるとなかなか断れない、とのことでした。


どちらのケースも、「子どものために応援してほしい」ということを語り続けたことで相手を口説くことができました。大切なのは、誰かのために行動を起こすこと、それをしつこく語り続けることのようです。


このほか、たった1年半のエッセイなのに、驚くほど多くの人との出会いと感動が紡がれていて、一つひとつのできごとから、幸せのヒントがこぼれています。

もちろん、全編を通じて「がんばらないけどあきらめない」という鎌田流の幸福術が貫かれていました。


きっと、あなたにとっての幸せも見えてくるに違いありません。

2007年12月01日

オタクコミュニスト超絶マンガ評論


オタクコミュニスト超絶マンガ評論
Amazonで購入
書評/サブカルチャー
結婚するまでは名古屋港の近くに住んでいた。トタン屋根を葺いたような粗末な市営住宅が立ち並ぶ街で、僕たち家族もそのなかの一部屋に汲々と暮らしていた。両親は九州からこの地に職を求めてやってきた。父も母も港湾労働者として働いた。周りを見渡せば似たような境遇の友人がたくさんいた。両親はだいたいがブルーカラーの肉体労働者だ。東北や九州から流れてきた者が多い。吹き溜まりのような街だった。彼らの家に遊びに行くと、よく某宗教団体や「赤旗」のポスターが貼ってあったりした。ずいぶんあちこちで見かけた記憶がある。中学に入ると、その教団の青年部に属する友人から熱心な勧誘を受けたりした。実際に、何かの集会に出かけたこともある。異様な雰囲気ではあったが、とくに嫌悪感を感じたわけでもなかった。僕は入信しなかったけれど、その後もその友人とは普段どおりに付き合った。新聞といえば、中日新聞とその教団の発行する新聞、そして「赤旗」しか知らなかった。成人して初めて、この世に朝日新聞や毎日新聞、読売新聞といった全国紙があることを知った。各紙によって論説に違いがあることも知った。冗談みたいな話だがほんとうだ。思想や宗教に関して、ずいぶんと偏った環境で僕は育ったわけだが、最近までそれを不自然だとも思わなかった。それがある意味、特殊であったことに気づいたのはつい最近のことである。ある評論家と酒席で一緒になったときだ。彼は「上層部に多々問題はあるにしても、戦後、社会の底辺に居る人々に手を差し延べて救済してきたのは、熱心な共産党員や新興宗教の信者たちだ」と語った。僕ら家族のような流れ者の多くは地縁を持たない。それゆえに何かトラブルが生じた途端、問題解決の糸口さえつかめぬまま、孤立し、自壊していく。そんな彼らの元へ赴き、擬似地縁ともいえる関係を築いてきたのが、共産党であり、某宗教団体だ。なるほど、うちの近所でやたら両者のポスターが目立っていたのは、そんな理由があったからなのだと、このとき初めて合点がいった。ただしこの話にはオチがつく。社会の底辺層の不満を吸い上げてきた両者は、たしかに彼らを救済し、“ガス抜き”の役割を担ってきた。宗教団体はそれで信者を増やしたかもしれないが、一方、共産党のほうは、熱心に活動すればするほど、真の目的であるはずの革命が遠のく、というジレンマを抱えることとなった。底辺層の不満が爆発しなければ、革命は生じ得ない。つまり日本が共産化しなかったのは、極論すれば、熱心な共産党員のおかげというわけである。さて、本書の著者は共産党員とは書かれていないが、共産主義者だそうだ。タイトルにも冠されているように、コミュニスト的観点からのマンガ評論集である。もともとイデオロギーとマンガとの接点は深い。全共闘世代が「右手にジャーナル、左手にマガジン」を持ちながら共闘したのは有名な話だ。イデオロギー色の濃い作品などは、現在でも陸続と発表されている。雁屋哲の「美味しんぼ」然り、弘兼憲史や、かわぐちかいじらなど、枚挙に暇がない。とはいえ、本書はそうしたイデオロギー色の濃い作品を誉めそやしたり、論駁を加えるものではない。一見、イデオロギーとは無関係に思えるオタク漫画などから、(ときに強引に感じられるときもあるものの)イデオロギーを引き出す、あるいは引きつけることに主眼が置かれている。もちろん著者は、〈政治主義的・外在的〉な漫画評論の在り方がもはや時代遅れであることは重々承知している。それでも敢えて、〈まるで漫画を道具のようにして自分や社会を語るという快楽〉を突きつめたのが、本書なのである。わかりやすい例を挙げてみよう。オタク漫画ではないが、例えば164ページで取りあげられる小川彌生の『きみはペット』。主人公のキャリアウーマン・スミレが、恋人の蓮實と、家に転がり込んできた美少年モモとの二重生活を繰り広げるという不可思議な設定の作品である。ここで著者は、男女雇用機会均等法施行後も〈高ストレス下〉に晒された末に、“分裂してしまった女性”の象徴としてスミレを捉える。[quote]九〇年代以降、「仕事」を選んだ女性たちは、ずっと「公的な武装」をしたままだ。あらゆる私的な欲望は封印され、抑圧されつづけている。それをとりだす回路はいまのところ「人格の分裂」しかない。「解放され、癒され、欲望に忠実な私的なもうひとりの自分」をつくり出す以外にないのである。(P169)[/quote]ここで均等法を悪しざまに貶したりすれば、サヨク的思想の押しつけになりがちだが、著者はそうしない。あくまで作品に寄り添いながら、さりげなく自己の主張を織り交ぜる。この点に著者の巧さがうかがえる。『きみはペット』の場合、〈社会性を再建することが「依存と自立」という二項対立を克服する道なのだという解答をスミレは見出すのだ〉と指摘した上で、次のように続ける。[quote]「自分探し」「自分らしさ」「自立」が、社会との関係を忘れた形で叫ばれるなかで、スミレのこの結論はある意味でかなり冒険であるといっていい。しかし、人間は社会の関係のなかで、人間の協同のなかでしか発展も、いや生活さえもできない。そのことが多くの女性誌の漫画のなかでは忘れ去られているのだ。(P171)[/quote]〈人間の協同のなかでしか発展も、いや生活さえもできない〉ことに異論はない。ただ、穿った見方をすれば、そこに素朴な性善説に立ったマルクスの描く未来社会像が見え隠れする。それがつまり、著者にとって〈まるで漫画を道具のようにして自分や社会を語るという快楽〉なのであるから、そこに異議を唱えるのは野暮というものだろう。読了して気づいたのだが、本書に紹介された未読の作品に関して、実際に読んでみようと思ったものは一冊もなかった。著者の書評が面白くなかったわけではない。むしろその逆で、お腹いっぱいになってしまうのだ。それだけ、著者の筆には説得力があるということである。ただし、書評の目的を書籍のレコメンド(=購入までの動機付け)とすれば、本書はそれに反していることになる。これは先述した「熱心に活動すればするほど、真の目的であるはずの革命が遠のく」という共産党のジレンマと似ている。[color=0033FF]★今回ご紹介した本は、「本が好き!」プロジェクトから献本していただいたものです。★「本が好き!」プロジェクトの詳細はこちら→http://www.buzz-pr.com/book/menu/[/color]

2007年11月27日

[卒読ノート]2日で人生が変わる「箱」の法則


副題:すべての人間関係がうまくいく「平和な心」のつくり方

著者:アービンジャー・インスティチュート/著 門田美鈴/訳

出版社:祥伝社  2007年9月刊  //\/i/i1,680(税込)  300P


2日で人生が変わる「箱」の法則    購入する際は、こちらから


人間関係が泥沼化し、にっちもさっちも行かなくなることがある。そんなとき、「問題を解決したいという気持ちとうらはらに、ひょっとしたら、別のことにこだわっているから問題が長引いているのではないか」と振り返ることができれば、問題は解決したも同然。――そんな考え方を丁寧に教えてくれるのが本書だ。


主人公の実業家ルー・ハーバートは、息子のことで悩んでいる。麻薬で有罪判決を受けた息子は、1年間服役して出所したと思ったら、今度は鎮痛剤を盗んで再逮捕。裁判所の命令で、更正プログラムを受けることになった息子に付き添い、ルーは妻といっしょにアリゾナ砂漠の施設にやってきた。

本書は、この更正施設で保護者向けに行われる二日間のセミナーの内容を中心に物語が進む。キャンプを主催するのは、パレスチナで長年にくしみ合う同胞を持つアラブ人とユダヤ人のコンビ。世界で一番憎しみあっても不思議のない二人が、互いを許し合うようになった思想の秘密が、徐々に明かされる。

自分の力だけを頼りにベトナム戦争から生還し、ビジネス界でのし上がってきたルーの心に去来するものは……。


本書は、同じ著者でベストセラーになった『自分の小さな「箱」から脱出する方法』の続編とのこと。

翻訳ものなので、ちょっと理屈っぽく感じる部分もあるが、冷たく凍てついた心を溶かす力のあるストーリーと感じた。